第7話 お前達が最終的に負けるのはどう考えてもお前達が悪い!

「………」


無言…!圧倒的無言…!

威圧感が彼等幹部の緊張感を刺激…!!

死…!その予感が迫るっ…!


「おい」


(((死んだ。俺(私)達死んだ…!)))


地獄…!苦痛の地獄…!!

プライドをミクロに分解された奴等が想像する苦痛の地獄…!!


「お前等…いい加減にシロヤァ!!」


今ここに!地獄の始まりが宣言された!!



{放送事故防止の為。この放送は一部カットされました。}



はい。地獄の最中からどうもこんにちは。ハデス日本支部のフェンリル所属の第3幹部。ケルベロス隊副隊長のネルです。

現在は目の前で私の上司と同じ人達が炎。雷。氷柱。ありとあらゆる自然災害を泣きながら逃げ惑う光景が繰り広げられています。

ちなみに私は隊長の居場所を聞かれただけで済みました。

てゆうか彼女何者ですか?データベースに該当無いんですが…


「彼女はこのフェンリルのほぼ全てを支えている方で、彼等より階級が少し上の方ですよ。ええ。まあ、実際は少しと言わず創設者並みですけどね。ハデスの」


「………」


え?

いや、このフェンリルの創設者から説明されたけどそんなに上なの?

いや、てゆうかなんここに居るの?

あたまいたくなってきた…


「さあ、飛び火が移らない時に移動しましょう」


「わかりました」



~副隊長移動中~



「さて。まあ、貴女には説明しても大丈夫でしょう。このフェンリルの第1幹部について…」


「第1幹部ですか?あの噂の?」


テーブルの上に書類が置かれた。

箝口令のサイン書だ。

サインして話を聞いた。


「では、場所を変えましょうか」


フィンガースナップ指パッチンして場所が変わった。

一瞬だ。

これが…ハデス創設者に最初に仕えた

転移?創作?この世界を作ったのか?

年齢、経歴、名前。一切不明の人物。

一番驚いたのは体が変わった事。

今さっきまでは30代の老いたサラリーマンだったのに急にイケメンになった。

表現するなら…彼の偽名。「フェンリル」の姿…


「驚きました?」


「…えぇ」


反応できた自分GJ!!

しかし、本当にイケメン。清楚なイケメン。

一言で表すならマク□スFの主人公。早乙女アルトを銀髪化したような感じ。

本当に美しい…っと。そうだった。あの少女の話だ。


「さて、口伝だ。彼女はフェンリルの第1幹部にして創設者。彼女と私が居なければ活動さえ開始できなかっただろう」


創設者かよ…


「彼女は本部も気に入っており。給料こそ職員と変わりないが。裏で莫大な貯金している。彼女は…この世界の歯車になる予定だった者だからね。歯車になる時。彼女が困らないように貯金をしてるんだ…」


心配性なおじさんみたいだ…話を知らない人が見たらつい声を掛けてしまいそうな困り顔が可愛い…

おっと。思考を戻そう。


「彼女は最初、ショッピングモールで楽しんでいたんだ。彼女は制御して。それでも溢れ出る魔力でショッピングモールを覆っていたんだ」


そんなに!?じゃあ、彼女の総魔量は…純度は一体…


「彼女に話しかけて。一緒に世界征服して。この世界を幸せにしようと…告白みたいなもので緊張したけど、頷いてくれた」


え?尊い…


「そこからは成功ばかりだった。宣戦布告も。その後も…彼女がやる事は全て勝利した。しかし、彼女はそこで止まらず。他の皆を引っ張った。ここ日本支部の拠点が広く。清潔に保たれているのも全て彼女のおかげなんだ。他の所を見た事は?」


「ええ。あります。そこは…自由ではあるものの…その、少々不潔で。こことは大違いでした」


「そうだろうね。平和ではあるものの。自由にハメを外して不潔だったよね。私も元々はそこで生活していた一人だった…彼女は、それが気に入らず。全てを変えた」


「全てを…」


「ああ。文字通り全て。彼女は貪欲だった。清掃しない奴には実力行使をして。礼儀の欠けた奴にはどうやったのか礼儀に人一倍厳しくさせた」


「あの…幹部達は?」


あのままで行くと幹部達もそうなっているはずなのだが…


「ああ。彼女は一番最初の拠点にずっと居たんだ。しかし、彼女の住んでいる家から遠く。立地も少々悪い所だったからね。頃合いを見て新たな拠点。ここD2に転属になったんだ。しかし、彼女は前からここに居る職員へは声が掛けずらいんだろう。あまり話しかけられた事が無いだろう?」


「ええ、そうですね。今日初めて見たぐらいなので…」


言われてみれば。確かに話しかけられた事が無い。


「彼女も彼女なりに頑張ってはいるけど、彼女からしたらこちらの人達が上だと思っているんだろう。実際。敬語で話された方が多い」


「敬語で?」


下の者に敬語を使う人なんて初めて聞いた。


「そう、敬語で。彼女はそこに居る時間で距離を測っている感じがする。例えば…学校のように」


「学校…ですか?」


学校。

確かに、一番しっくり来る。


「前は家族のように接していた。皆笑顔だった。しかし、転属してからは下級生のように全員に接する…まあ。そうなると予想していたのに、ちゃんと対応できなかった私の責任だがな…」


「そんな事ありません。だって…」


だって…なんだろう。

彼は悪くない。なのに、反論できない。


「君にしてほしい事がある。彼女の…彼女を支える友人になってくれないか?」


「私が…ですか?」


「ああ、きっかけはこちらで作る。だから…頼む」


頭を下げられる程の事だ。

友達…なれと言われてなれるものではない。

しかし、すべてが噛み合わさっている。

私が彼女と友達になりたい。

そう思っている。


「わかりました」


ピースが填まったような感触で私は少し微笑んでしまった。

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