第4話 平和な戦争(後編)

魔法。

それは魔法少女にしか扱えない現実改変みたいな物。

そこにあるはずの無い物を作り出す。それが魔法らしい。

折角魔法少女になったんだから魔法少女らしい事やってみたい。やったみたくない?

ちなみに魔法少女には魔法適正みたいなのがありまして。それによって媒体が必要か不必要かを判別できるらしい。

で、自分は媒体が必要な方だった。

まあ、そこまで最強だったら今ごろこんなに苦戦してませんよ。

では、とりあえず媒体機を取り出すか。

今日もってきた媒体機はハデスの研究部が作った試作カード型即発生無質量系媒体機。名前はまだない。ので、俺はカード具現機CRと略している。はあ。喋ってくれればもっと良い名前付けれたのになぁ…

さて、まあ。どっかのデュエリストから発想を得たこの小型CRなんだが、使い捨てのカードを使用し。魔法の発生手順を踏まず即魔法を発生できるすげぇやつだ。

カードをドロー。あ、そうだ。あれやってみよ。

ドロー!モンスターカード(嘘)!!

って事で一枚を太股にあるカードボックスから取り出した。名前は…爆発。

もっと良い名前付けろよ!クソ!こうなったら俺が名前を付けてやる!

エクスプロージョン?いや、名前がかっこよすぎて爆発がショボかったらなんか嫌だな。

スーパーノヴァ?いや、これも上と同じくだな。

…なるほど。研究部が爆発にした理由が理解出来た。

よし、見てから決めよう。

カードセット。座標確認。


発生サクセス


熱、光、音。

全てが攻撃的だった。

爆発し、発生した黒煙へ突っ込み、ナイフをぶっ刺した。

…名前…どうしようか…

微妙に大きい爆発の中心で時間になり、テレポートした。



~数日後~



一応後ろ盾を集めるのは大成功だったらしく、資金に余裕が出て初給料を貰った。

それで色々と武器を買い揃え、生活にも余裕が出た。

で、あの魔法少女なのだが。悪い予感は当たっていた。

隣の席に座る気の強い人だった。

で、ヤバい事に話す仲になった。

…話をしよう。今から…何日前だったかな…



~数日前~



そうそう、あれは例の宣戦布告の日からすぐの日だった。

何を買おうと考えながら廊下を大量の紙を抱えて歩いていた時に事件は起きた。

廊下の角でぶつかったのだ。彼女と…


「うわっ!?」


「いてっ…ちょっとなにすんのよ!」


「あ、ごめん」


彼女は散らばった紙を集めながら俺に言った。

いや、もう本当にカッコいいと思ったね。


「私だけに持たせるつもり?」


「え?ああ、ごめん」


そして拾い集めてる時に言葉の意味を知ったのよ。「自分も持つけどお前も持て」ってな。

普通無視するか拾ったら終わりって考えるのに最後まで付き合う。それを言葉の後ろに隠して言うんだからかっこよくない?めっちゃカッコいいやん!

って考えた後に同時に気が付いた。

この前の魔法少女やん…って。罪悪感半端無いマジで。

手に絆創膏を貼ってたから俺は思った。

今度は倒れる時に支えようって。

いや、そこだけしか無理。怪我をさせずに戦えって言われてできる?普通。

殴ったりする事もあるからアザもできるよ?

無理ジャン!

しかもこれは聞いた話なんだけど、人って横になんの力も加えずに倒れるだけで死ぬ生き物らしい。なら気絶させた後って一番あぶなくね?って。

一応戦闘中も気を付ける所は気を付けるよ?でも、あんまりできないと思うから倒れる時に支えるだけって事。


「じゃ、私はこれで…」


「あ、待ってくれ。名前を教えてくれないか?」


「席が隣なのに名前すら覚えてないの?」


申し訳ない…今度全員の名前でもメモっとくか。


「私は紗沙羅 結。ちゃんと覚えておきなさい」


なるほど。紗沙羅 結ね。覚えておこう。


「ありがとう、紗沙羅さん」


「結で良いわよ」


そう言い彼女は去っていった。

……髪に太い糸さえなければカッコいい去り方だったな…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る