ダンスパーティ 〜 Baby one more time
ロスで一番衝撃を受けたのが、ダンスパーティです。小学生の時から皆、私の目にもわかるほどリズム感がよく、とてもかっこよくて。
習い事のバレエか、あとはせいぜい盆踊りと運動会のダンス、体育の創作ダンス(あれはすでにダンスではないです)しか知らなかった私には、本当の本当にカルチャーショックでした。
そんな彼らの文化を知る前も、学芸会 “Louis & Clark” (19世紀初頭にアメリカ大陸横断を成し遂げた探検隊) の時に母が「◯◯や◯◯ (お誕生日会に来てくれた友人たち)、ダンスも上手だね! リズム感がある 」と言っていて、へー、そんなもんかな、とその時は思ったのですが。
体育館でダンスパーティが開かれたある日。宴もたけなわという頃に特徴的なBGMが流れ始めた瞬間、二、三人の一軍女子が真ん中に立ち、腰を振り始めて。
「あれ、なんか、私の常識では知らないことが始まるぞ(生活する上で、自分の「常識」とかけ離れた事が始まるのは日常茶飯事でした)」
そう思った瞬間、
「Oh baby baby, how was I supposed to know……」
という、ブリトニー・スピアスの「Baby One More Time」のハスキーな歌声が流れて、それと共にダンス好きな男の子、女の子がダウンリズムに乗って体を動かしていました。
超お子さまでブリトニーの曲も知らず、ダンススキルもなかった私は
「かっこいい〜」
と眺めるしかできなかったのがなんとも切なかったです。
それでも、その時まだまだいわゆる「外国人」の私は、できないことがあっても「たぶんそれは文化の違いだろうな」と見逃されていて、ダンスができないことも放っておいてもらえて、あるいはカウボーイっぽい音楽に合わせて同じ振り付けで踊るダンスなんかはみんなに教わりながら一緒に踊るなど、私なりに楽しい時間を過ごしました。
そして最後のスローダンス。(小学生なのに……)
なんの曲だったかな。マライア・キャリーとか?
ボーイフレンド、ガールフレンドがいる子(さすがにまだ少数派でした)は、はにかみながら真ん中に行き、抱き合いながらゆっくりと体を動かして、特定のパートナーがいない子は、男の子からの誘いを待ってなんとなく固まっていましたが、一人、また一人とダンスへと行き。
私も誘われて、いつもはただの同級生としか見ていなかった子にちょっとときめきながら、スローダンス初体験をしました。
日本や東アジア圏の文化に比べて、欧米は友情関係や家族関係でも、身体的な距離が近いように感じます。それはどちらがいい、悪いでは全くなく、本当にただの文化の違いなのですが、ハグなどは精神安定にすごくいいな、といつも思っていました。
スローダンスはその究極で、「ちょっと好きになるかも……」とも感じたり(笑)
もちろん(?)小学生なのもあり、その後何も起こらなかったですが。
こういう体験の一つ一つの裏にはいつもブリトニー、ビヨンセ、マライア・キャリー、ジャスティン・ティンバーレイク、バックストリートボーイズ、リッキー・マーティン、エンリケ・イグレシアス、さまざまなアーティストの存在がありました。
中でも、ブリトニーの「Baby One More Time」の、「チャラララ〜 Oh baby baby……」という特徴的なスタートを聞くと、パブロフの犬のようにあの時のワクワクを思い出します。
(それにしても、hit me baby one more time ってなんかすごいよね。DV願望……?)
体育館の真ん中にでんと置かれた長テーブル、その上にある真っ赤なフルーツパンチジュースが入ったグラスボウルとお玉にプラスチックのカップ、油っぽいポテトチップス的なスナックを乗せた使い捨ての紙皿、みんなで喉が枯れるまで話して笑った記憶、実はあの子はあの子が好きなんだよという裏事情、歌を披露した名歌手のクラスメイトに合わせて踊るみんな……。
今思うと本当に素晴らしい時間で、ああいう思い出があるからアメリカを何があっても嫌いになれないんだよなあ、とも思います。
日本に来てくれる人たちも、日本のことをそんな風に思ってくれるといいな、と思うくらいにはアメリカに深い思い入れがあります。たぶんそれは、外国人としての立ち位置ではありますが。
私のロサンゼルス滞在記 蜂蜜の里 @akarihoney
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