時は今から約1,000年後。
女性に感染しやすいウイルスによるパンデミックで女性と男性は隔離されたものの、女性は絶滅してしまったと言われる世界––––。
「ガイアシステム」に生殖を支配された場所で生を受けた主人公であるカイルは、二十歳の誕生日を迎えたことを機にガイドパートナー(生体アンドロイド)であるアナと共に女性を探す旅に出る。
––––それが、彼の運命を……そして、世界の運命すら変えるとも知らずに。
壮大な時間軸で描かれるこの作品は、緻密に練られた設定と圧巻の美しき情景描写に彩られています。
本作は私はほとんど初めて読んだと言っていいSF作品なのですが、作者様がキャラクター達の心理描写を丁寧にしてくださるため……まるでキャラクターが本当に生きているようで、読みやすいと同時に本当に楽しめました。
青い雪によって終わりを迎える世界で、彼らは何を選ぶのか。
そして、何をなすのか。
極上のSF作品です。
ぜひご一読ください。
― パンデミックによって女性が絶滅したと言われる世界。地上には男性だけが生き残り、生殖は「ガイアシステム」によって管理されていた。航空機や高度な技術も封印され世界は閉じていた。
それから500年後、ウィルスは絶滅し、ガイアシステムは『二つの世界』の隔離プログラムを解除する。そして物語の主人公カイルは、アンドロイドのアナを伴い幻の女性フェリアを探す旅に出る ―
この物語の最大の魅力は、500年前から練られた壮大な計画や、青い雪を起因とした全球凍結による地底世界への避難といったスケールの大きな世界観にあります。
さらに、主人公カイルをはじめとする登場人物たちの驚くべき正体、スターライナーや生体型アンドロイドといった未来的な存在が次々と登場し、読者をわくわくさせてくれます。
特に、カイルたちが世界を分断していたランス山を越えるシーンのスピード感。そして、二つの世界が交わる瞬間は圧巻です。愛する者への強い想いが描かれる場面にも感情移入しやすいです。
SFならではの醍醐味を余すところなく盛り込みながらも、物語はわかりやすく、会話は軽妙で心地良い。
この小説は、優れたエンターテインメントとして、心からお薦めできる作品です。
私が作者様の書かれた物語を読ませて頂くのはこの作品で二作目となるのですが、読者を一瞬にして惹き込むような設定を物語に組み込まれることにほんとに長けた方だと思います。
女性が絶滅した世界。この設定に、前作もさることながら今回も一瞬にして惹かれました。
舞台はパンデミックが起きたあとの近未来の世界。主人公のカイルはアンドロイドのアナと共に、もやは伝説となってしまった女性を探す旅に出ます。けれど、それからというもの幾つもの障壁が二人の前には立ちはだかります。
ジャンルで言うとSFとなるかもなのですが、作者様は一人一人のキャラクターの心情を大切にされていて、それを明確に読み手に提示してくれるので重厚なヒューマンドラマも味わえます。
気になって頂けた方は是非御一読ください。
心からおすすめ出来る作品です…!
生まれながらに男性しかいない世界を経験していたカイルくん。
彼は女性の存在を信じ、まだ生存していることを確信しているようだった。もちろん女性にうつつを抜かすカイルは変人扱いだ。
成人となったときにガイドパートナーとして女性型のアンドロイドを授かったカイルは、西へ向かうことを決意する。
本来ならマザーコンピュータに拒否されるはずの提案だったが、意外にもその申請は受理された。
GO WEST。
新たな大陸において、カイルは女性に関する手がかりを手に入れられるのか。
青年の旅路はまだ始まったばかり。
今からでもじゅうぶんに物語に追いつけますので、ぜひご一読くださいませ。