モラルやマナー

 普遍的な道徳や良心というのは絶対に存在すると思います。


 例えばその中の一つと私が個人的に考えているのが、「アンパンマン」のやなせたかしさんが言っていた

「本当の正義とは、自分も傷つくことを覚悟の上でお腹を空かせた人に食料を分けること」

 で。それはどんな国、どんな時代でも絶対的な正義だと思っています。

(この時、自分以外の誰かも巻き添えにして飢えさせるというのは、そこから少し外れると思いますが)


 ですが、日々の立ち振る舞いや行動について、この地域ではよく見られるけど、この地域ではほとんど見ない、というものもよくあります。





※ ここからは若干悪口になりますので、苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。

公平に(?)アメリカと日本、両方の悪口です。








 アメリカで、私が個人的にドン引きしたのが

「購入した服のタグを切らずに一、二度着て、その後気に入らなかったとして一週間後に返品する」

 という行為です。

 同級生がそういった行動を取っているという話を耳にしたとき、私の目には皆も私同様に引いているように見えましたが。

 その後も同様の行為を、別の人たちがちらほらと行っている様子が伺えて。


「アメリカ人、モラル低すぎ……」

 と完全に引きました。

(当時は「民度」という言い回しはなかったように思います)


 あと、学校で掃除の時間がなかったせいか、ランチ後に机の上にゴミを置きっぱなしにした子に

「ほら、片付けなよ」

 と声をかけると

「これは掃除の人カストディアンたちの仕事だし! 仕事を奪わないようにしてるだけ」

 とニコニコされたこともあり。

「掃除の時間って、大っ嫌いな時間で人権侵害(自分の汚した分をきれいにする以上を求める要求の高さが苦手です)だと思ってたけど、それなりに存在意義があったんだ……」

と思いました。

 まあ、アメリカで掃除の時間なんて、幼稚園以外で設けたら暴動が起きると思いますけどね。


 どちらも、かわいくて感じもいい子たちだったことが、闇が深いです。自分さえ良ければどうでもいいという。


 同じようなことはもちろん日本でもありました。


 特に私が引いたのは、キラキラしていてきれいで人望もある、非の打ち所がないのない女の子が。

「◯◯人って本当苦手っていうか、民度低いよね」

 と笑顔で言っているところを目撃したことです。

どこの国かはここで書くつもりはありませんが。


(後述:私もつい数行前に、アメリカ人を民度低いとけなしていました……。ですが言い訳をさせてもらうなら、自分の出身の田舎とか、転勤先で長いことお世話になって思い入れも深い地方の一部分気に食わないところをけなすような気持ちがあったということだけ言わせてください……! あれ、あまり許されないかな)


 私はそれに

「んー、結局は人じゃないかなー。あんま国は関係ないかも」

 とヘラヘラ笑って答えたのですが、彼女は少し不満気でした。


 いや、それぞれの国にいい面も悪い面も特色があるのはわかるよ。例えば日本人は一般的にはコツコツ物事を積み重ねる感じだし。

(その文化的特色をあまり持たない、「◯◯人ぽくない」人ももちろん大勢いて、そこも面白い点です)


 ただ、いわゆるポリティカル・コレクトネスの真逆をいく、文化的特色を捻じ曲げてしまっては互いにつながっていくこともできないからこそ、絶対に許されない「民度が低い」発言を、人格も優れている子の口から聞かされるとは、と自分の国の「モラルの低さ」にショックを受けました。

(ポリコレのダブルスタンダードについては、ここでは置いておきます)


 彼女は今ご主人がアメリカに駐在しており、彼女自身もインフルエンサーとしてのお仕事をしているので。

 様々なバックグラウンドを持つ人たちと出会う中で、その時の間違った発言を反省したか、あるいは忘れてアップデートしているといいなあ、と心から思います。

 自分が昔やってしまった差別的な発言・やらかしは反省するのが一番ですが、その過去をなかったことにしてしまうのも、個人的に進化だと思っていますから。(その行為に傷つく人がいなければの話です)


 あるいは、仕事をする時の無責任さ。いえ、一兵卒として働く上ではこの上なく責任感があると思うのですが、リーダーとしての主体性のなさは、私自身日本でしか働いたことがないので、皆と同様に持っている欠点のような気がし、恥ずかしく思います。

 暴力的でない分、陰湿で、集団でしか行動できずに(もちろんアメリカ人にも、その弱さもありますが、少なくとも彼らは表面上は全て自己責任、という風に振る舞います。だからこそ、集団の暴力が際立つのですが)、弱さを恥じず(それ自体を否定する気は毛頭ありません。弱さを武器に人を叩くことを恥じているのです)、卑怯な国民性。


 自分たちと似た存在しか受け入れずに。同じ肌の色、バックグラウンドという共通点から少しでも外れる人たちを排除する、排他的な感じ。

 私が日本人で一番嫌悪する特色です。

 なぜならばアメリカにも、そういった人が多い地域は数えきれないほどあって。

 要は田舎(クローズドという意味です)の悪い面というか、人類共通の欠点だと思うからです。


 もちろん、グローバル・スタンダードの一つであるポリコレを信じているわけではありません。その裏側もわかりすぎるほどわかっているつもりです。(あくまでつもりですが)

 ですが本音ではどうであれ、社交する際は相手に少なくともマナーは求めたくて、そこから(私の基準で)外れた人を見るとガッカリしてしまうということかも。


 あれ、私もマナー違反、たくさんしたことあるな、そういえば。

 

 子どものころロサンゼルスで会った台湾人の女の子に、

「どこ出身?」

 と聞いたところ

「台湾人だよー」

 と言われて。

「そっか、中国人ってことだね!」

「いや違うよ」

 と何度も訂正されて、最後には諦められたり。

(国と国の緊張関係以前に、ものすごく失礼な行為です)


 ……たぶんもっと色々やらかしてるし、覚えてるのもあるけど、ここに載せられるのはそのくらいで。

(これもどうかと思うけど、子どものやらかしということで)


 うん、自分もどっこいどっこいだわ。

 これからも何かしらやらかすとは思うけど、気がつく度に反省するしかないですね。

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私のロサンゼルス滞在記 蜂蜜の里 @akarihoney

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