この世界を変えるのは誰か? 精緻極まるファンタジー群像戦記をご覧あれ!

国対国という大きな枠組みの中でも輪郭のぼやけない、むしろ一層強い輝きを放つ人物描写が特に魅力的な、とても面白いご作品です!
各陣営が緻密な政略や謀略、作戦指揮を繰り広げるのですが、誰も彼もが確信に満ちた手を打っているわけではなく、苦悩や困惑、逡巡や葛藤といった人間らしい心理描写の秀逸さにもご注目ください!
要人によって異なる政治思想や、指揮官ごとに癖のある作戦立案の傾向など、考察要素も満載の、じっくり楽しめる丁寧なご作品です!
かと言って堅苦しいだけでもなく、軽妙な語り口で分かりやすく説明してくれたり、とぼけた冗談を飛ばしてくれるキャラクターが何人もおられるので、飽きが来ることはまずありません!
作者様が時々まとめてくださる「参考資料:国際関係と人物紹介」に目を通し、どの陣営の誰に注目していくか決めながら楽しんでいくことも可能かと思われます!
主人公のレファールさんだけを見ても、数奇な巡り合わせで実績を打ち立て、評判がやけに一人歩きし、あまりに柔軟な姿勢が各陣営に驚嘆を超えて恐怖を与え、変な奴には縁があり、結婚相手には政略がついて回り、自陣営はいまだ未完成と、どう転ぶかがまったく予想不可能なのです!
この世界の行く先を、あなたも一緒に見届けませんか? オススメです!

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Eighteen Years' War

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