読み人が零してくれた暖かな泪が、その『本』の歴史になり、想いになる……
- ★★★ Excellent!!!
この物語は、とある『本』の主観で綴られています……。
その『本』は、作者の想いの全てが注ぎ込まれ、そして、作者の最後の命の火をもって、この世界に産みだされました。
しかし、同時に世にでた同志の半分が、図書館に寄贈されてしまうほど、希少な存在感も稀覯な価値もありません。
図書館の棚に置かれたまま、貸し出されることもなく、最後まで読んでもらえることもなくなった、この『本』が辿る運命は哀しすぎます。
でも、ある日、その哀しい運命を変える出逢いが訪れます。
手を差し伸べてくれたのは、小さな女の子。その『本』を読みながら泪を零します。
この女の子の運命も過酷なのです。でも、哀しくてもそれを感じさせない気丈さは、誰もが応援したくなるはずです。
素敵な一冊に出逢った女の子。その『本』は、女の子のこころの中でどのような存在になるのか? 貴方も、興味が湧きませんか?
全編を通して、哀しさが溢れているのと同時に、暖かさに満ちています。
これは、確実に癒される一編だと、わたしは思います……。