画工たちの息づかいまで聞こえてきそうな生き生きした描写が出色!

画狂い北斎と、その血を色濃く継いだ娘・お栄の日常。その異才ぶり、破天荒ながら画には真摯、画への執着は他の追随を許さず、、北斎の偉大な画業の秘密の一端が窺えます。
語り口調は江戸っ子らしく諧謔に啖呵に憎まれ口まで、活きのいい科白は唾も飛んできそうな勢い。すぐ目と鼻の先で見ている心地がします。
脇を固めるのは、現代に名を残す戯作者や画工でいずれも一癖あって、役者揃い。
達者な文章で江戸時代へと連れていってもらえます。江戸の市井と、不世出の奇矯な画工に出会う旅を、楽しまれてはいかがでしょうか。

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