北斎とお栄-その晩年
海石榴
第1話 馬琴の訃報―其ノ壱
「そうか、
娘のお栄から、瑣吉こと
小暗く
「さっきチリンが
チリンとは
この当時、町飛脚は書状入れの小さな箱を棒につけて担ぎ、大江戸
北斎は柿色の袖なし
「
「バッカ野郎。あいつは
北斎の苛立ったような声に、お栄は片眉をあげて押し黙った。
薄い西陽が、
突如、戸外のドブ板通りで、
嘉永元年(一八四八)の十一月、北斎とお栄は、
その前というか、この年の
北斎は来年九十歳を迎える。いつ死んでもおかしくない
馬琴の死がよほど大きな衝撃だったとみえ、北斎は上がり框に座ったまま、
この寒風の中、どこをどうほっつき歩いてきたのか、色褪せた
お栄は
冷たい江戸の
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