先輩からえっちなプレゼント

 充実した時間を送り、ゲームセンターを出た。空はすっかり暗くなってしまった。


「解散しましょうか、先輩」


 そう提案し、途中まで送ると先輩は足を止めていた。


「あ、あのね……鐘くん」

「はい、どうしました?」

「ここでもうお別れだよね?」

「ええ、まあ……また明日会えますよ。ラインもしますし」


「でも触れ合えないし」

「あー、先輩ってば寂しんですか?」


「……うぅ」


 どうやら図星らしい。

 でもどうすれば先輩の気持ちを落ち着かせられるかなぁ。なら、聞いてみるのが手っ取り早いかな。


「先輩はどうして欲しいですか?」

「……そうだ。鐘くん、今って手が冷えてるでしょ」

「さっきまで左手は先輩に握られていたんで温かいですが、右手は冷たいですよ」



 俺の右手を直接掴み、確認する先輩は驚く。そんな丁寧に確認されると、ちょっと照れる。



「本当だね。じゃあ……これで温めて」

「……ん?」



 先輩は黒タイツを脱ぎ、それを俺の右手に握り込ませてきた。



「はい、どうぞ」

「どうぞって!! これ、先輩……温かいです」

「うん、わたしの体温」

「生々しすぎですよー!!」



 今日ずっと先輩の生足に触れていたものだ。……うわぁ、これいいのか。貰って。ていうか、俺ヘンタイじゃん。



「遠慮しないで」

「いやいや、先輩が寒いでしょう。戻してください」

「ううん、いいの。鐘くんにわたしの物を持っていて欲しいから」

「で、でも……」


「だってね、今日学校で鐘くんってば、アイドルみたいな子と話していたでしょ。取られたくないから」



 ……明石あかしか。

 見られていたんだな。

 なるほど、それでこんな積極的と。

 まったく、もう。



「分かりました。先輩のご好意ですから、ありがたく受け取っておきます」

「うんっ! 次はブラかパンツにしておくね」

「や、止めて下さいって! 清瑞先輩、実はえっちな女の子なんですね」

「うん。鐘くんに限定してね」

「……ありがとうございます」



 あまりに嬉しくて俺は心の中で叫んだ。それからもう先輩の顔を見れなくて、背を向けて走り出した。


 ありがとう、先輩!

 タイツは家宝にさせていただきますっ!

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