先輩が俺の腕を離さない。汗を掻くほど密着

 先輩のメイド服姿を拝みつつ、俺は就寝。ぐっすり眠った。



 ~翌朝~



 冷気によって目覚めた俺は、朝の仕度を進める。今日も学校だ。



 桜ヶ丘さくらがおか学園。

 至って普通の高校であり、特徴がないのが特徴だ。そんな学校へ先輩に会う為に今日も向かう。今のモチベーションなんてそれが一番の理由だ。


 学ランに着替え、朝食を済ませた。

 家を出て徒歩で学校へ向かう。

 自宅からだと片道三十分は掛かるので、自転車チャリが欲しいところ。――いや、あったにはあったがパンクした。新しいのを買わねばな……先輩を後ろに乗せられるし。


 バイトでもするか?


 なんて考えていると、町角で先輩とばったり会った。そういえば、先輩も割と近いところに住んでいるんだっけ。



「おはようございます、先輩」

「おはよう、鐘くん」



 優しい笑顔で挨拶するなり、先輩は俺に腕に抱きついてくる。



「せ、先輩……!?」

「途中までいいでしょう? この辺りは人通りも少ないし」

「とはいえ、クラスメイトとかに見られるかもですよ?」

「大丈夫。別に付き合ってるって堂々と言えばいいし」

「そうですが……分かりました」


 俺は観念して、そのまま登校する事に決めた。先輩の言う通り、その時はその時だ。そうして他愛のない話をしながら学校が近づいてくる。


 見られる頻度も上昇。

 いい加減に恥ずかしくなってきた。



「思ったより見られるね」

「そりゃそうですよ、先輩」



 さすがの先輩も恥ずかしいらしく、頬を朱色に染めていた。けれども、先輩は俺の腕をぎゅっとした。



「先輩っ! 離れないんですか?」

「緊張で逆に離れられなくなっちゃった……」

「な、なるほど」



 今日はかなり寒い日。

 だというのに汗を掻き、体がポカポカしていた。先輩の体で温められているな、俺。……あぁ、出来ればずっとこうしていたい。


 でも、教師の目もある。



「もう校門だね。離れるね、鐘くん」

「は、はい」


 なんだか名残惜しい。

 時間が無限にあったら良いのにな。

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