不思議な転校生

 学校に入って先輩と別れた。

 先輩はもちろん一個上の学年なので、上の階へ向かっていく。最後まで手を振って見送った。これでしばらくは会えないな。



 また退屈な授業が始まる。

 ――そう思っていた。



 教室の一番後ろの席に座る。しばらくして気怠そうな顔の担任登場。HR≪ホームルーム≫が始まった……のだが。



「あー、皆聞いてくれ。今日は転校生を紹介する」



「「「はあ!?」」」



 この時期に転校生?

 珍しすぎだろう。もう冬休みだって近いというのに。誰しもがそう思った。……だが、現れた転校生に全員が息を飲んだ。



「…………」



 教壇に現れたのは『金髪の美少女』だった。桜ヶ丘のセーラー服に身を包む少女。その容姿は、まるでアイドルのように整っていた。常にNo.1の座に居座っているようなオーラを感じる。



明石あかし 枝眞えまです。こんな冬の季節の転校してきましたが、よろしくお願いします」



 丁寧な挨拶を済ませる転校生。

 担任の提案で俺の隣の席になった。そういえば、隣は空いていたな。……って、俺の隣か。



「……」



 転校生が静かに歩いて来て、俺の前に立つ。こうして近くで見ると、本当にレベルの高い顔立ちをしているなと俺は思った。



「よろしくお願いします」



 頭を深々と下げて丁寧だな。



「俺は小野寺おのでら しょうだ、よろしく」

「小野寺くんっていうのね。こちらこそよろしくです」



 着席する転校生。

 隣の席にこんな美少女が……少し楽しくなりそうだな。




 その後、何事もなく授業は進み――お昼。



「鐘くん、一緒にお昼にしましょ」

「先輩。迎えに来てくれたですね」

「うん。お弁当作ってきたから、食べさせてあげるっ。さあ、行こう」



 先輩は俺の手を握って引っ張ってくれる。隣の席にいる明石がこちらを見ていたような気がしていた……。なんだろう、あの視線。



 少し不思議だったが、先輩と手を繋ぎ屋上を目指した。

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