巫女服の先輩と甘い一時

「せ、先輩。少し暑くなってきました。ちょっと歩きましょう」

「分かった。お散歩しましょうか」


 巫女服の先輩と境内を歩く。

 こんな貴重な経験が出来るとは思いもしなかった。しかも、すれ違う人には振り向かれて注目度抜群だった。


「見られてますね」

「気にしない気にしない」


 俺の腕に抱きついてくる先輩。

 しかも、その目線は俺を見ていた。


「……先輩、俺の泣きボクロ好きですよね」

「うん。鐘くんのホクロ好き」

「もっと近くで見ます?」


 ぐっと顔を近づけると、先輩は顔を真っ赤にしていた。けれど、俺の泣きボクロを魅入るように見ていた。



「……これ好き」



 細い指で俺のホクロを撫でてくる先輩。くすぐったいし、何だか変な気分にもなった。


「どう、ですか?」

「男の人で泣きボクロの人ってあんまりないから、特別な感じがするの。だからね、鐘くんはすっごくタイプなの」


「俺、このホクロがあんまり好きじゃなかったけど、先輩がそう言ってくれるのなら嬉しいですよ」


「良かった。鐘くんは、わたしの事……どうかな」


「どうって、先輩は魅力ありすぎですよ。黒髪で清楚で……胸も大きいし、男子からもモテるでしょう。告白だってされているんじゃないですか?」


「突然の告白は多いね。でも、全部断ってる。だって泣きボクロないもん」



 そんな理由で断るの!?

 凄いなそれ。

 俺は、ラッキーだったかもしれないな。

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