キスとぬくぬくの抱きしめ合い

「明石さん……って、先輩も!」



 ちょうど先輩も姿を現した。



「鐘くん、おはよ~」

「お、おはようございます」


 挨拶を交わすと、明石が一歩引いていた。


「え、小野寺くん。この先輩さんって」

「そうなんだ、俺は先輩とそういう仲なんだ」

「そ、そか。ごめんね」


 走り出して行ってしまう。

 なんだかショックを受けていたような。


「あの子、クラスメイトでしょ? 良かったの?」

「そりゃあ、明石は魅力ですよ、アイドル級で可愛いし。でも、俺はそれでも先輩が良い。柔らかくて、常に全力で俺を温めてくれる先輩が」


「……鐘くん」


 先輩は口元を押さえ、泣きそうになっていた。



「ど、どうしたんです?」

「嬉しかったの。鐘くんにそう言って貰えた事が。だって、わたしから告白しようと思っていたんだもん。けど、転校生の子がいたから……びっくりして」


 そっか、偶然が重なってしまったんだ。でも。


「俺はもう先輩の温もりのとりこ。先輩以外なんて考えられない」


 そう断言すると、先輩の方から飛びついてきた。



「わたし……鐘くんが好き」

「俺もですよ、先輩」



 こんな早朝。

 しかも玄関前。

 俺と先輩はゆっくりと抱き合い――キスを交わした。



 身長差があるのに先輩の包容力には感服する。小っちゃくて、でも温かくて……コタツのようにポカポカする。だから抜け出せないし、抜け出したくない。



「今日、学校サボっちゃおっか」

「いいですね。今日はずっと先輩で温まります」

「うん。わたしも鐘くんを温める」



 先輩が密着してきて、体を委ねてきた。

 俺は彼女の腰に手を回し――

 ぎゅっとした。

 すると、俺の耳を甘噛みしてきた。

 温かくて最高だった。



 俺は先輩が好きだ。大好きだ。

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