あれから半月経ちました。

 私たちが北の山へと入った日の夜から、都を襲う異形はぱたりと襲来しなくなりました。


 私は剣持国にいた頃の穏やかな先生の姿を思って仏を一体彫りました。

 その像は、先生のいた洞穴に祀りました。


 先生ほどの技量のない私の像には先生のたましいが宿って、この世に息を吹き返すようなことはありません。

 しかしながら、先生のたましいの、せめてもの慰めになればよいと思っています。

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異域之鬼 江野ふう @10nights-dreams

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