大学受験に失敗し、両親から見放され、生きる意味を失った司は、無差別殺人を行う決意をした。なかなか踏ん切りをつけられず、街をさまよう中、裸足の少女と出会う。彼女は母親から虐待を受け、邪魔者として育てられていた。殺そうとして近づいた司だったが、彼女の境遇を知るにつれ、別の感情が芽生え始め……。主人公・司の絶望と葛藤、そして、微かに芽生える生への渇望と人間賛歌が愛おしい。「無敵の人」という言葉に仮託して、世の無常とそれでも残る希望を確かな筆致で描いたヒューマンドラマ。
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