それはきっと、どこにでも存在する絶望。

どこで間違ってしまったのか。
誰しも、そういう後悔に苦しんだことがあるものでしょう。
子供のためを思っていたはずなのに、追いつめてしまう親。
親に申しわけないと嘆きながら、罪を犯してしまう子供。
この物語は、そんな瀬戸際から始まります。
医学部受験に挫折して、自暴自棄の犯罪に踏み出そうとする主人公、司の目に映ったのは、寒空の下に裸足でたたずむ少女でした。
「リサはね、死んでもいい子なんだよ」
自分でそう語る少女は、司にとって、どのような存在になっていくのでしょうか。
雪の降る日の出逢いは、絶望から目をそらす欺瞞にも似て、ざわざわと心をゆらします……。