こういう切り口のファンタジーって、今までなかったかもしれません。
主人公は、「とある教会」で裏方をする任務に就いています。
かつては孤児で盗賊だったけれど、現在は教会に拾われて「神託を現実にすること」を職務として担っている。
おじいちゃんな大司祭が「水に恵まれる」と神託を口にすれば、その通りに給水工事を行うなどし、人々の間に信仰が根付くように日々尽力する。
そうやってどうにか「嘘」を真実にするよう頑張っていた彼らだったが、ある時に事件が起きてしまう。
おじいちゃん司祭、グラマラスな美人の信徒が相談に来てしまったため、ちょっと調子に乗って「ペガサスが降り立つ」なんて神託を出してしまう。
ふざけんな! どうすんだ、これ! と困惑する裏方さんたち。
どうにかして「ペガサス」が降臨して見えるよう、必死に頭を悩ませることになります。
この感じ、「楽屋ファンタジー」とでも名付けられるかもしれません。
ファンタジーの世界がファンタジーらしく運行できるよう、その裏で必死に「工作」をしつづける人々の物語。
どことなく三谷幸喜監督の「マジックアワー」とか「ラヂオの時間」とかに通ずるような楽しさがあったとも感じました。
ファンタジーな世界において「楽屋モノ」であり「お仕事小説」でもある。今までありそうでなかった切り口がいっぱいで、すごく新鮮な面白さに満ちていました。
ここにしかない面白さがふんだんに込められた作品、読まないでいるのはもったいないですよ!
非常に楽しませていただきました。
大神官による、神からのお告げは十中八九当たるという。
……当然奇跡を起こしてくれる神などいない。
そこには、「奇跡を起こすために奮闘する裏方達」がいたのだ!
が、ある時、舞台監督の大神官が、「ペガサスを降臨させる!!」などと無茶なお告げを言ってしまったばかりに、現場は大混乱を招く!!
今まで幾度となく「奇跡」を起こしてきた「俺たち」は、このお告げを実現できるのか……!!?
情景描写もさることながら、非常にドラマチックというか、『演劇的』なんですよね!
後半は思わず声が出ました。
ご一読を!!
大司祭が告げる神託を、「おっけー、なんとかするぜ!」と裏で奔走して現実にする、教会専属職人たちのお話です。
まず、この発想がおもしろいです。
まじめな人なら「詐欺じゃん!」となりそうところ、知らなければみんながハッピーな世界観。
ところが大司祭、きれいなお姉さん信者の前で、むちゃな神託を言ってしまい……。
結果、仲間と共に主人公は奔走するはめになってしまいます。
ふと、文化祭の前日とか、演劇部の大道具係とかの、あのわちゃわちゃした熱気を思い出しました。
終わり方もすごく素敵で感動的です。
このお話を読んで、ぜひほっこりしてください!
本作は奇跡の裏方、神の威光を支える職人さんたちの物語です。
どこか影のあるリーダーと、専門技術を誇る仲間たちが、唐突な無茶ブリに頭を抱え、神経をすり減らし、それでも力を合わせて、神さまを信じる人のために願いを叶えていく姿が描かれます。
人は奇跡を起こせるのか。いや、奇跡を起こす人こそ聖人とされるのですから、本作の登場人物は、誰もがまったくそんなこと思いもしていないのでしょうが、自らの行動で聖人たらんとなり得ているのです!(?)
クリスマスが近いこの季節、皆さま、異世界の聖夜を見上げるのもまた良き哉、と思います。