サキ

〈サキ〉

 なんであのおっさんが警察の横で平然と突っ立っているのかさっぱり分からないが、それよりもこのジャックとかいう野郎だ。棚の上で大量に保管していた私のお菓子を奪うなんて。


「おいお前たち!」


 ジャックの声に、子供たちは一気に静まり返った。


「お前たちのお菓子は俺が頂いた!」


 だからそれは私のお菓子なんだって。子供たちに配るためじゃなくて、私がこれから食べるために取っておいたやつだって。


「今晩しっかりと食べさせていただくよハハハ……」

「待つんじゃジャック!」


 野太い声とともに、おばさんが屋台から出てきた。


「お前もここまでじゃ、おい光輝!」

「え? 僕?」


 え、光輝くん?


「光輝。ジャックを止められるのは、君しかいない」


 全員の視線は、私の隣に立つ光輝くん、一点に集められた。

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