警察

〈警察〉

 窓から入り、急いで家の中を探したがサキさんは居なかった。もしや、あいつが連れ去ったとでもいうのか、なんてことだ。


「そ、そこのあなた!」


 少し走ると、道を歩く一人の男性を見つけた。


「少し前に、上空を誰かが飛んでいきませんでしたか?」

「いやぁ見てないですけど」

「そ、そうですか、ありがとうございます」

「もしかしてそれって、ジャックじゃないですか」


 俺は走り去ろうとした足を瞬時に止めた。


「ジャック?」

「ハロウィン泥棒のジャックです。毎年ハロウィンの夜にどこかの街に現れては、お菓子を盗んでいくんですよ」

「そいつだ! たしかにお菓子を手にしていた!」


 俺と彼は二人ですぐさま走り出し、そのジャックとやらの捜索を始めた。


「ちなみにあなた、お名前は?」


 走りながら彼に尋ねる。


「西澤、と申します」


 灰色のセーターと丸メガネが、街灯に照らされた。

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