サキ
〈サキ〉
光輝君はたくさんの友達に囲まれながら、出会ってから私に一度も見せなかった満面の笑みをして、友達からお菓子を受け取った。本当はみんなに渡す予定のなかったお菓子ではあるが、そんなことはどうでもいい。
他人の幸せを感じたのは何年振りだろうか。
他人から幸せを与えられたのは何年振りだろうか。
どんな夜よりも暗く閉ざされていた私の心に、この夜が光を灯してくれた、そんな気がした。
「いいですねぇ、ハロウィンの夜ってのは」
「そうですね、私も来年は、もっとお菓子用意しなくちゃ」
「そしたら来年こそ、私にもお菓子をくれますよね?」
……え?
すぐさま横を向くと、そこに立っていたのは灰色セーターに丸メガネの……
「お巡りさん! このおっさんも捕まえてください!」
こちらの夜は、まだまだ明けないようだ。
完
こんな夜には軽めの奇跡を 地下街 @tikagai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます