その頑張りが必ず報われますように

 認知症のグループホームで働く藤子は、トラブルにトラブルが重なって、昼に帰る予定が日付の変わった夜になってしまっていた。彼女が帰宅を急ぐのには、ある理由があって……。
 介護職のリアルと、シングルマザーの心の内がまざまざと描かれた現代ドラマ。暗く長いトンネルのような前半からの後半は、胸に迫るものがあります。
 現代社会において、「頑張ればいいことがあるよ」というのは、もしかしたら放言になってしまうのかもしれません。それでも、この主人公のように、人のため、家族のために汗水流す人には、それに相応しい幸福が訪れてほしい、そう願いたくなるような読後感でした。

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