そのヒロイン、道には迷うが、見えないものを見ることが出来ます


 行方知れずとなった姉を追って、龍華国の後宮にあがった鈴花。だが、彼女はドジで要領が悪い上に、極度の方向音痴。おかげで、同僚の宮女に迷惑ばかりかけている。
 ある夕暮れ時、いつものごとく後宮内で迷子になった鈴花は、夕闇の中、まばゆい銀色の光につつまれた美貌の宦官・珖璉(こうれん)に出会う。
 彼は連続宮女殺人事件の謎を追っていたのだが、偶然出会った鈴花が、人が纏う光の色を視ることができる≪見気の瞳≫を持つことを知り、彼女を自らの侍女として犯人捜しを手伝わせることにする。

 ドジだが特殊能力のある侍女・鈴花と、神懸かった美貌の宦官・珖璉の二人が、陰謀渦巻く後宮で起こる事件の謎に迫る。

 恋あり、謎あり、陰謀ありの後宮ものがたり。
 おいしいご飯と甘~いお菓子にうっとりにんまりの鈴花と、その身に謎を秘めた銀光纏う美貌の宦官・珖璉のコンビは、ときにすれ違い、ときに意気投合して、百花繚乱、絢爛豪華な後宮に蔓延る、憎悪と嫉妬の坩堝の中を、おのれの大切なものを守るために駆け巡る。もっとも片方は秒で道に迷うけど。

 美食と毒と謎が山盛りの満漢全席。どうぞ、皿までお召し上がりください。






その他のおすすめレビュー

雲江斬太さんの他のおすすめレビュー441