小さな名もなき花は、道に迷いながらも運命へとたどり着く

 中華の後宮で起きた陰惨な殺人事件。
 この小説はそんなショッキングな冒頭で始まります。

 美しさを競う華麗な花々の中で、ひっそりと咲く小さな花。主人公の鈴花は目を離すとどこへ行くかわからない真正の方向音痴さん。そこに現れたのは後宮中の耳目を集める美貌の宦官、珖璉(こうれん)。
 珖璉は鈴花の特殊能力を知り、事件の捜査のために彼女を侍女にします。
 事件にかかわっているうちに、珖璉に恋心を抱くようになった鈴花のその後は、そして後宮全体を巻き込む事件の顛末は……。

 蟲を使う不思議な術の存在が照らす後宮の闇。

 普通なら絶対に交わることのなかったはずの運命が、いま、動き始める。
 

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