風に振り向かされて見つける、いつかの眩しかった『私』

吉祥寺の駅周りの喧騒と、井の頭公園のしっとりと落ち着いた空気とのギャップ。

その賑やかさと静けさのコントラストのはざまに、若かりし頃の、誰もが経験した淡い想い出が優しく差し込まれ、胸に沁みてきます。

昔は色々な街中の片隅に、クラシック喫茶やジャズ喫茶が、自己主張するでも、おしゃれさをアピールするでもなく、ただそこにぽつりとあって、身体も心も休ませてくれたことを、思い出させてくれました。

当時、ごりごりした音楽ばかりを聴いていて、だからしょっちゅう肩を凝らしていた私が、たまにふらりとそんな喫茶に入り、心が洗われた日々を。

私も今は私の愛犬を連れ、井の頭公園をよく歩くけれど、もしかしたらあの頃の、亨平と手を繋いでそこを歩くきらきらした『私』と、すれ違った事があるかもしれない。