自宅介護を選んだ理由は、ひとつじゃない

「自宅介護」と聞いて、どんなイメージが湧くでしょうか。
明るく良いイメージを持つ人は、少ないと思います。だって、世間には介護にまつわる暗いニュースがいっぱい。悪い結末だけを突きつけられて、その実態を知る機会はなかなかありませんから不安が募るばかり。
そんな自宅介護のあれこれをカラリと明るく読ませてくれる、有意義なエッセイです。
介護のお話ですから、もちろん綺麗事じゃすみません。お世話もどんどん大変になるし、元気だった家族が弱っていくのを目の当たりにする悲しさも。
でも、本来なら重くなりがちなエピソードも、ユーモアを交えて語ってくれる。その語り口に家族としての愛情が感じられ、安心して読めるのです。
介護認定や老人ホームへの入居についても書かれていて、非常に参考になります。
もちろん家庭によって事情は異なるでしょうけれど、少なくとも介護に対する「正体不明の不安」は薄れました。

他人事ではない、介護問題。この作品のおかげで、前向きにその時を迎えられそうに思います。

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