残るものと残らないもの、贈り物をするならどっち?

個人的には作者様の待望の新作であったのですが、期待通り、いやそれ以上の物語でした!

この作品は作者様連載の『放課後対話篇』の特別編として発表されています。
そしてまさに特別編と呼ぶにふさわしい作品の仕上がりとなっていました。

このシリーズ、高校生の月の下君とヒロインの星原さんが学園で起きる不思議な事件の数々を解決していく連作ミステリーなのですが、この特別編ではその本編の良さがギュッと凝縮された作品となっています。
しかもラストには特別編だけあって、なかなかヤキモキさせる二人の関係にも変化が表れてと、盛りだくさんな内容となっております。

そして今回このレビューを書く目的は一つ。
まずはこの特別編だけでも読んで欲しいと思ったからです。
この特別編にはシリーズの良さがつまっています。

ということでタイトルに戻ります。

「残るものと残らないもの、贈り物をするならどっち?」

身近でも結構迷ってしまう問題だと思います。
そこを起点に物語が始まり、事件が起こり、ミステリーが進むにつれて作品のテーマが浮かび上がってきます。

こんな物語を書けること自体が本当にすごいですし、それをエンターテイメントとして成立させているのは作者様にしかできないことだと思います。
物語にはたくさん散りばめられた謎、そこから現れる意外な発見や知識、謎が解き明かされていくにつれ深みを増していく面白さ。
なかなか進まない月の下君と星原さんの距離感(笑)
とにかくファンにとっては読むのが楽しい作品でした。

この物語を読んだら、是非、本編でもある『放課後対話篇』を読みたくなると思います。
そのためにもまずはこの作品をぜひ読んでみてください。

魅力的なキャラクター、深みのあるテーマ、本格的でちょっと捻ったミステリー。
読書の楽しさがいっぱい詰まっていますよ!

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