最後の夜 謎野雷喜vsコートを着た男

 「ほほう、後いくつかの都市伝説だけだ。これで我が頂点となるのも近い。

次のターゲットは――、『コートを着た男』だな?」

「はい、分かりました。コートを着た男ですね。どうやら、市内にいるようです。

必ずや謎野雷喜が仕留めて見せましょう、ムサシさま」。

地下の声と、謎野は、話をしていた。


 そのころ、コートを着た男は、あるものを探していた。「謎の新聞記者」という

地下から聞こえる声と、それに操られる新聞記者の都市伝説だ。前回、

マニピュレイトヒューマンに出くわしたときに、写真と同じ顔の男を見た。

しかも、ペンまで持って。それで、何かがあると思い、調べているのだった。

「あの、この人見たことないですか?」

「ああ、どこかであるわ。確か、新聞記者で、中多雷太って人よね。都市伝説の

取材をしていて、結構記事面白かったのよ。本当ならばなおさらね。でも、最近

新聞の掲載が無くなったの」。

「あっ!知ってるんですか?詳しいこと、教えてくれません?僕、その人を探して

るんです!」

コートを着た男は、女子中学生に話を聞いていた。かなり詳しいことを聞くと、

笑みを浮かべた。

(あいつがペンを持ってるから、色々おかしくなってる。回収しなければいけない)


 謎野は、ある所へ向かっていた。それは、とある公園だ。コートを着た男が今

そこにいるとの情報をペンからキャッチした。握りしめられているペンには、

様々なスイッチがついている。小さなモニターもあった。スイッチの1つには、

「都市伝説回収モード」と書いてあった。

それは、今、同じ公園へ向かっている、コートを着た男も一緒だ。様々なスイッチと

モニターがあった。

「あっ?!」

コートを着た男は、ペンのキャップを追いかけた。ペンの先は、普通のペンでは

ない。特に何ともなかった。だが、コートの男がボタンを間違って押すと、ペンの

先が光った。怪しい光線だ。ほぼ見えない光だ。

 

 謎野とコートの男が同時に公園についた。しっかりと目が合った。何かが起き

そうだ。

「都市伝説、発見。『コートを着た男』見~っけ!」

「俺は都市伝説の人間ではない。鈴木峻希だ!!」

どうやら、コートの男は、鈴木峻希というらしい。峻希は、ペンを持った。いや、

構えた。ペン回しを1回すると、キャップをとり、怪しい光線を出す。そして、

何かを書いた。志士霊などでは、これによって都市伝説が無くなった。だが、今回は

違った。謎野は、ここに立ったまま。

「今度はこっちだ」。

謎野がニヤリと笑うと、ペンでまた何かを書いた。だが消えない。

「なぜだ?なぜ消えないのだ?」

「俺は都市伝説の怪人ではない。お前、中多雷太だろ?なぜ、お前がペンを

持っている?もしや、地下から聞こえる謎の声を聞いたのではないか?」

「中多・・・雷太・・・。謎の声・・・?ペン・・・ウワァァァ!!」

謎野は、頭痛に襲われたようだ。

「我に返るんだ!」

だが、その時、謎野は、煙のように消えた。地下から声が聞こえた。

「くそっ、逃げたか。まあ、ここでは、もう都市伝説が起こることはないだろう」。

コートの男は、どこかへ歩き出した。これから、謎野や峻希を見た者はいない。

東京都武蔵野市でも、もう都市伝説が現実になることはなかった――

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武蔵野市・都市伝説伝 コートを着た男編 DITinoue(上楽竜文) @ditinoue555

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