第7夜 山の中の巨人と亀裂
「ねえねえ、ちょっとあれ、やってみない?」
「あれ、ってどれ?」
「ほらほら、あれだよ!!だいだらぼっち!!ちょっと確かめてみない?
武蔵野市で出るらしいよ?これは確認しないと!気になるじゃん!」
「ええ、ちょっとそれは・・・。怖いよぉ・・・」。
女子会で、この話が盛り上がっていた。20代前半の中谷麻里子と、大嶋裕子が
この話をしていた。ここ、東京都武蔵野市では、だいだらぼっち伝説が残っている。
そして、最近では、トレインゴーストとか、志士霊とか、扇丸とか、あと、
コートを着た男の都市伝説もある。都市伝説など、怖い話が大好きな麻里子には
たまらない話だった。
「それじゃあ、今女子会に参加しているうちの、何人かで行こう!楽しみだね!」
「うんうん!」
「え、え?え、ええ・・・」。
裕子はしぶしぶ承諾した。
その週の土曜日——女子会メンバーは、とある山へやってきた。その時——!
「グフフフフ。謎野雷喜よ、そろそろ次のターゲットだ。だいだらぼっちだ。
特に危害をもたらすわけではないが、反抗されると厄介だからな」。
何かの声が聞こえる。同時に、心臓が高鳴る。
「これ、アレかもしれないよ」。
「え?なに?」
「ほら、地下から聞こえる声のことだよ。ヤバいんじゃない?」
そして、だんだん近づいていった。声はどんどん近くなる。
いまだ――そう思ってカメラを構えた時、声が消えた。人が山を下っていたところ
だけは、分かった。登山に来た人だろうか?いや、それにしては、違う服を着て
いる。何より、この山は、すでに、入山規制があったはずだった。
「スクープだね」。
「これは、マジでヤバいね!」
先程の声は、妙に気になった。何やら寒気がする。これはみんなに共通していた。
その時———ズン、ズン 音がする。地響きと共に、地面が割れ始めた―—―!
「ウァァァァァ!!」
「何よ?ちょっとヤバいって!」
裕子や、他のメンバーは、走った。何が起こったのかが分からない。だが、本能が
逃げろと叫んでいた。だが、誰かには、この本能の叫びが聞こえていないらしい。
麻里子だ。麻里子は、カメラを構えた。
「みなさ~ん!今、謎の地響きがしています!地面が割れてます!みなさん、これは
一体どういうことなのでしょうか?!」
だが、カメラを切って逃げる前に、亀裂が襲った。
「きゃっ!たすけ・・・」。
麻里子は、地面にできた深い深い穴へ落ちていった――。だが、嘆いている暇は
ない。みなが、亀裂から逃げる。
「ウォォォォォォォォ!!!!」
唸り声が聞こえた。大きな太い棒があった。それは棒ではない。足だ。1人が
踏まれた。続いてもう1人。亀裂に落ちる人も何人かいた。
「うう、みんな・・・」。
その時———何かに手を引っ張られた。そして、巨人の足が消えた。助けてくれた
のは、コートを着た男性だった。
「もう大丈夫だ。だいだらぼっちは、もういなくなった」。
男はそう言い残すと、どこかへ去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます