例え虚飾の檻の中でも、彼らはけして道を違わなかった。

 主人公はクラスでも目立たない少女に惹かれ、友人たちと少女の家に招かれることになる。しかし、少女はかつらなどで変装していたデザイナーズ・ベイビーの最高傑作であり、巨大な教壇を統べる教祖的存在だった。
 古代中国のような印象の建物や衣服。さらに科挙や自治権を持つ州の存在。主人公は、少女に夫候補として目を付けられ、床に臥す帝にも謁見する。そして、州の長達とも出会うのだが、その中の一人が殺されたことで、少女が収めようとしていた宗教団体は各州入り乱れての大混乱に陥る。
 そんな中、主人公はデザイナーズたちを作る際に、失敗作として施設に収容されている人々に出会う。彼らは奇形であり、見えないように隔離され、十分な待遇を受けずに死に追いやられていた。それを知った主人公だったが、少女は瞳や唇を使った術によって、人々の心を支配することができた。そのため主人公も、この施設での感情を一時は失いかけるが、ある人物の問いかけで、デザイナーズたちへの怒りを取り戻す。
 戦乱が続く中、帝が襲撃され、主人公の友人の秘密が暴露される。
 そしてその友人の秘密が、主人公の正体にも関わっていたことが判明する。
 
 倫理と使命、覚悟が交錯する、中華風SFファンタジー!

 圧倒的な筆力で描かれる、迫力満点の作品でした。多くの登場人物を書き分ける描写力もさることながら、作者様が追い求める人間の本質的な倫理観が根底にあり、考えさせられる一作です。

 是非、御一読下さい!

その他のおすすめレビュー

夷也荊さんの他のおすすめレビュー1,172