この物語は、現在の日本が舞台の物語でありながら、読み手を、古い昔の時代のようで、近未来のような、不思議な世界に案内してくれます。
読み始め、ファンタジーな恋物語かと思いきや、どんどん,どんどん、別世界に引き込まれて行き、とても面白いです。
自然なストーリーの流れの中に、無理なく伏線が散りばめられており、矛盾のないしっかりした設定で、素晴らしい作品だと思います。
私はこれを読んで、科学の進歩がもたらす物に対する警告のようなものを感じました。
物語の中にある世界に、あなたは何を感じるでしょうか?
素晴らしい作品だと思いますので、是非読んでみて下さい!
読み終えて感嘆のため息が出る、オリジナリティーあふれるすごい作品でした。
物語はどこにでもある、どこにでもいる航君の高校生活から始まります。
幼馴染の女の子と、地味だけどハイスペックな女の子。
航君がこのハイスペックな掌に告白し、交際が始まります。
しかし交際が始まったものの、彼女はどうも普通の女の子とは異質な存在で……
というところから物語は徐々に転がりだしていきます。
作品の舞台になるのは千葉県の片隅にある異世界とも呼べる独自の社会制度を持った王国。
それは古代中国を模したような、しかし過度に近代的な要素を併せ持った不思議な世界です。
この設定、名称、社会制度などなどが緻密に設定されており、圧倒的なリアリティーがあります。
これだけの世界観を作り上げる想像力がとにかく素晴らしい!
そしてこの国で一つの事件が起こります。
これをきっかけにこの国が変貌していくのですがこのパートがまた迫力があってすごいんです。
渦巻く陰謀と思惑と混乱、この国に眠る謎とタブーが容赦なく明かされていきます。
こうした緻密な物語でありながらも、物語が力強く転がっていくのはなんといってもキャラクターの造詣のなせる技。
主人公の航、幼馴染の明日佳、謎めいたヒロインの掌。
誰もが等身大でありながら、等身大なりの考え方、正義をもって行動していきます。
だからこそ、この異常ともいえる混乱の中にあってもリアリティーをなくすことなく物語が語られていくのです。
そしてこの世界の秘密が明かされるとき、もう一つの大きなテーマが立ち上ってきます。
そのテーマに対して、それぞれがどういう決断を下していくのか?
物語の結末に待ち受けるものはなにか?
個人的にテーマ性が立ち上ってくるような長編が大好きでして、まさにこの作品にはそれがありました。
物語の怒涛の展開を楽しみつつ、じっくりと考えなければならないテーマにも触れてみてください。
とにかく圧倒されるようなすごい作品でした。
ぜひ読んでみてください!
この作品を一言で言い表すのは難しい。
誰もが読み始めはほのぼのとした青春ラブコメを想像しただろう。
しかし、りんごが坂道を転がり落ちるがごとく、物語は読めば読むほど加速し、途中で抜け出すことは難しい。
舞台は現実世界だが、ある意味異世界と言えるだろう。
古代中国を彷彿とさせる世界観の中で、宗教、格差社会、優生思想、遺伝子操作、生命倫理といった現代社会が抱える問題に踏み込んでいる。
にも関わらず、とっつきにくさを感じさせないのは、主人公を含めた登場人物たちが確かにそれぞれの信念をもって事態に向き合っているからだろう。
そこに確かに人の息づかいを感じ、大きな問題に個人としてどう立ち向かうかを考えさせられる。
読了後もあとをひく物語だ。
主人公はクラスでも目立たない少女に惹かれ、友人たちと少女の家に招かれることになる。しかし、少女はかつらなどで変装していたデザイナーズ・ベイビーの最高傑作であり、巨大な教壇を統べる教祖的存在だった。
古代中国のような印象の建物や衣服。さらに科挙や自治権を持つ州の存在。主人公は、少女に夫候補として目を付けられ、床に臥す帝にも謁見する。そして、州の長達とも出会うのだが、その中の一人が殺されたことで、少女が収めようとしていた宗教団体は各州入り乱れての大混乱に陥る。
そんな中、主人公はデザイナーズたちを作る際に、失敗作として施設に収容されている人々に出会う。彼らは奇形であり、見えないように隔離され、十分な待遇を受けずに死に追いやられていた。それを知った主人公だったが、少女は瞳や唇を使った術によって、人々の心を支配することができた。そのため主人公も、この施設での感情を一時は失いかけるが、ある人物の問いかけで、デザイナーズたちへの怒りを取り戻す。
戦乱が続く中、帝が襲撃され、主人公の友人の秘密が暴露される。
そしてその友人の秘密が、主人公の正体にも関わっていたことが判明する。
倫理と使命、覚悟が交錯する、中華風SFファンタジー!
圧倒的な筆力で描かれる、迫力満点の作品でした。多くの登場人物を書き分ける描写力もさることながら、作者様が追い求める人間の本質的な倫理観が根底にあり、考えさせられる一作です。
是非、御一読下さい!
一見地味だけれど実はハイスペックな美少女・掌に恋をした少年、航。
めでたく付き合うことになり、幸せ最高潮の彼が訪れた、掌の「家」とは――
そこでは、驚くべき新展開が彼を待ち受けていた!!
ここが千葉県のどこかにあるという設定が、まず親近感が湧いて面白いです。
でも、千葉ではあっても千葉ではなく、日本であっても日本ではない。
もはやどこだかわからないほどの奇想天外な新しい世界が、あっという間に面前に広がります。
この社会、歴史、理念、生命観。もはやただの「異国」じゃない!
平凡な少年だった航の、様々な人間力が試されることになりそうです。
彼は次々に訪れる試練を乗り切れるのか。
その前に、彼の人生はいったいどうなっちゃうの??
読者の固定観念をも揺るがす、仰天のアドベンチャー!
ぜひ、お楽しみください!