彼(か)の地へ――

「砂漠渡り」の一族の少女が、「長月」と呼ばれる季節にのみ、旅行くその先は何なのか――
駱駝を駆り、茫漠たる砂の世界をひた走り、時には人を助け旅の道連れを得て、そして少女の向かう先とは――

駱駝、西瓜、オアシス……砂漠という世界を彩る、あるいは象徴するタームが散りばめられる物語を、読み進むうちに、それを読んでいる自分も、砂の世界のさすらい人になっているかのような感覚に襲われる筆致は、流石としか言いようがありません。

そして、この物語の「核」となる、砂漠を渡って行く「先」にあるモノ――それを知った時、何故それが秘密であり謎であるとされていたかが分かります。

その物悲しくも美しい「それ」を求める旅に――物語に出てみませんか。