勇者、対、魔王。この戦いを終結させるのは、ふたりの強さと、そして優しさ

 今、まさに最後の決戦の扉が開かれようとしている。
 その扉の奥には、これまで無敗をほこる魔王が存在している。意を決して、そこに飛び込む勇者一行は、その場を覆う、もの凄い重圧をその身に感じていた。

 先鋒を競うかの如く前進してくる、魔王軍。対して、勇者を温存するための陣形を見せる勇者一行。ついに、その戦端は切って落とされた……。

 という、いきなりクライマックスから物語は始まります。
 しかし、ここから先、読者の期待は良い意味で裏切られるのかもしれません。
 こういう強さを持った勇者がいても良いではないか。こんな優しさを持つ魔王だっていても良い。そして、ふたりの脇を固める仲間たちも、素敵な存在である。

 しっかりと描かれた、勇者、対、魔王の物語。でも、その綴られた顛末は、勧善懲悪とは違っていて、読了後は、きっと優しくなれることでしょう。
 そこがまた素敵な物語なのである……。

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