珍しい果物
翌朝。
トイレの後ベッドに入ったのはいいものの、結局のところ眠れずに朝を迎えてしまった。
……まあこんな日もあるだろう。
今日はこれといったことは思いつかないのだが、異世界っていうことだからなにかモンスターとかと戦ってみたいなと思ってしまった。
でも、こんな一般人がモンスターなんかと戦ったら絶対負けるだろ。
「んんっ……ふぁぁ」
「げっ、まじか……」
いや、布団の中でなにかモゾモゾと動いているなとは思ってたんだよ。
でもそんなこと一々気にしてたら寝れないから、気にしないでいたんだ。
「おい……なんで俺のベッドに?」
「あれっ?わっ、ご、ごめんなさい!私の部屋だと勘違いして――きゃっ!?」
「……」
そこにいたのは夜中と同じくイリアだった。
しかもなんで裸なんですかねぇ……。
「うぅぅ……」
布団にくるまりながら顔を赤くするイリア。
布団にくるまっているとはいえ、露出している色白の足がものすごくエロく見えるのはなぜだろうか。
「ち、違うんです!本当に!」
「ああ、分かってる。分かってるさ……えーと、そういうサービスもいいけど、できれば言ってくれたらよかったんだけどな」
「違いますって!サービスなんかじゃ……!あうぅぅ……」
目の前に裸の美少女がいるのにもかかわらず、平然と喋る俺。
いやなんか、こんなことを現実世界で経験した気がするんだ。だから、耐性的な何かがついたんだと思う。
「……っ」
そして一瞬息を呑む音が、静かな部屋に響いた。
「――さてと、今日は何するんだっけ?」
朝食を食べた後、やってきたのは少し歩いたところにあるカースという栄えた街。
カースは、今から数百年ほど前に造られた街であり、住人もそれほど多くいるし、色々な店なんかがあったりした。
例えば、異世界ならではなサキュバスの店だったり、以外にも普通の風俗のような店もあったりする。
だからと言って、俺はそんな場所にはいかない。だって、イリヤやティールもいることだし。
むしろ溜まっている感じはするけど……。
まあとりあえず、俺もそうだけど、ティールやイリヤもこの場所には来たことがないのか、周りをキョロキョロと見回していた。
「そうだなぁ……なんにも思いつかないし……」
別にカースに来たからといっても、やることなんかは何もない。
なんというか、来たこともない場所で何かするっていう考えはそもそもない。
なので、この街を軽く見て回ることにした。
「あっ、果物……これ、買ってきてもいいですか?」
この街を見て回る中、イリアはなにか目新しいものを見つけたようだった。
「なに、これ?」
当然俺は、その果物について知るわけがない。
見た目はスイカのようだけど……絶対スイカじゃないだろうな。
そもそもこの世界に、現実世界の食べ物があると思えないし。
「実はこの果物、私が住んでる街には無いんですよ。だから、こうして近くの街に来ないと買えなくて……この果物、すごくおいしいって評判なんです」
「へぇー、そんなにおいしいんだ」
「ちなみに噂では、この世界の王様はこの食べ物が好きだとか」
と、そこにさっきまで後ろにいたティールが割り込んでくる。
「王様が果物を?」
「別に王様が果物食べてもよくない?」
たしかにそうだけど……うーん、王様が果物食べてるとか、どうもイメージしずらいんだよなぁ。
「お待たせしました。それじゃあ行きましょっか」
さきほどの果物を買い終えたのか、いつの間にかイリアが戻ってきていた。
行くって言っても、特に行く場所もないし……と俺は考えるが、イリアにはいく場所があるのだろう。
日常生活が飽きたから異世界でハーレム生活する。 かろん @olt36
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