異世界の夜は不安でいっぱい

異世界生活での夜というのは、なぜか怖い。

なぜ怖いのかを考えてみると、異世界といえば現実世界とは異なり、現実世界での動物というのは、ここではモンスターに値する。

だが、全部が全部モンスターということではないらしい。

空を飛んでいる鳥なんかは、モンスターではないことが多い。

例えば、夜寝ているときにモンスターが家の中に侵入していたり、吸血鬼なんかが襲ってくるかもしれない。

家の中は安全というのは知っているが、でもやっぱり怖いものは怖いのだ。


「うーん……これでどうだ!」

「あっ!そんなのずるいですよ!むぅぅ……なら、こうですっ!」

「なっ!?……また負けか。どうしたら勝てるんだ……」

「ふふっ、勝つには、日々の練習ですっ」

「くそぉ……」


リビングにて。

先ほどからイリアとボードゲームで対戦をしているのだが、なぜかイリアに全然勝てない。


「ここをこうすれば良かったのか……?」


ゲームを終えると、ゲームをしていた時には浮かばなかった策や、動き方なんかが出てくる。

だが、その策を実行したとしても必ず勝てるというわけはなく。

気づけばイリアとボードゲームを一時間以上もプレイしていたのだ。


「な、なあ、もう一回やらしてくれないか?」


いい策を見つけて実行したとしてもうまくいかないか、いい策を見つけてもそれを実行できずに終わるのか。

まあ、やってみなきゃ分からないことだ。



「えぇ?まあいいですけど……」


若干困ったような顔をしたが、それでも俺とボードゲームをやってくれるイリア。

これはほんとに感謝したほうがいいかもしれない。


「――ねぇー!イリアー!」


ボードゲームをもう一回やろうとしたところ、家の玄関が勢いよく開いたと同時に、イリアの名を呼ぶ声がした。

そしてイリアはいやそうな顔をしつつ玄関に向かった。


「……なに?」

「ああ、イリアいたんだ!ちょうどよかったよ!」

「ちょうどよかったって?」

「うん!私、変な人に追いかけられてるの、だからさ、私を構って!」

「……その変な人にいろいろされたほうがいいと思うけど?」

「ああっ!ちょっと待って!私を見捨てないでよぉぉ!」


玄関のほうで大声と、小さいながらも冷静なイリアの声が聞こえる。


「……じゃあ、私にしたこと謝ってよ」

「えっ、そ、それは……」

「まだ、私はやってないって言うんだ。ふーん……」

「わ、分かったってば!あうぅぅ……その、以前したことについて許してください……」

「はぁぁ……ほら、入ったらどう?」

「あ、ありがとう、ございます……」


イリアが戻ってきたと思ったら、その後ろからイリアと同年代と思える少女がやってきた。


「紹介します、この子はティール。頭が良くて美少女です」


たしかにイリアが言う通り美少女だけど……。


「俺は雄哉。よろしく」

「よろしくお願いします、といっても、一日だけですけどね」

「さてと、紹介はそこそこに、今ボードゲームの続きやるからお風呂でも行って来たら?」

「それもそうだね。行ってきまーす」

「……元気なんだな」


元気な子というのは、周りを明るくさせてくれる属性があるとかないとか。










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