夜中に起きることといえば?

布団に入り何時間が経過したのだろうか。

時間の経ち方が現実世界と違うような気がする。

現実世界より、こっちの世界は時間の経ち方が遅いような気がする。

だから、現実世界と同じように過ごしたら、時間がそんなに経っていなかったという現象になる。


「……やばい」


暗闇の部屋で一言漏らす。

何がやばいかというと、尿意だ。

そう、尿意がピンチなのだ。

トイレに行こうと布団をのけようと思ったとき、なぜか布団が少しモゾモゾと動いている。


「――あ」


電気をつけ布団をのけると、一人の少女が出てきた。


「……なにしてんの?」

「え、えっとぉ……ひ、一人で寝るのってなんか怖いじゃないですか。だ、だから、添い寝をと思いまして……」

少し早口に喋りつつ、最後のほうはだんだんと声が小さくなって聞き取れなくなった。


「なるほどね……まあたしかに、異世界の夜は怖いなって思ってるけど、そこまでしなくても……」


布団をのけて出てきた少女はイリアだった。


「で、でも、女の子と一緒に寝るのって夢じゃないですか!だ、だから……」


たしかに女子と一緒に寝るのが夢という人もいる。

だけど、俺はちょっと恥ずかしいし……。


「ま、まあ、とりあえず……俺、トイレ行きたいんだけど」


「――はぁ……」


トイレを済ませた俺は、自分の部屋に行くわけではなくリビングに行った。

理由としては……特にないが、トイレに行こうと起きたわけなので、なぜか眠気が覚めてしまった。

普段だったら二度寝など普通だったのだが……まあいい。


「あれっ、お兄ちゃんここにいたんですか」


リビングのソファーで何をしようともせず、ただ座っていたところにパジャマ姿のイリアがやってきた。


「どうしたの?」

「いや、どうもしてないですが……というか、どうしてここに?」

「なんか眠気が覚めちゃってね」

「ああ、分かります。私も眠れないときは、基本的に何かが起こりますから」

「何かって?」

「何かは何かです。何が起きるかは予想できませんから」


俺の頭には一瞬はてなマークが出た。


「まあ、なんだ……こういう時は、無理して寝ないほうがいいって誰かが言ってたな」


俺の友達が、無理して寝ないほうがいいって言っていた。

でも、寝ないと次の日は眠気に襲われるし、学校なんかがある日は授業内容が頭に入ってこないことが多い。

だから、寝れなくても無理して寝ようとする。

まあ人それぞれあるが、俺はそう思っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る