日常生活が飽きたから異世界でハーレム生活する。
かろん
第1話 地獄からの天国
「あれ……ここは?」
目を開けた先には、光一つない闇が広がっている。
俺――
いつも通り学校に行く途中、信号無視をして歩道に突っ込んできた軽自動車にはねられた。
だけど……なぜか痛みを全く感じない。
つまり今俺は、生と死をさまよっているということなのかもしれない。
暗闇の中、方向すら分からないのは承知の上、とにかく俺は光を求めて歩く。
「――ねぇ」
「……えっ?」
何か聞こえたような気がする。
でも、暗闇だからその正体はわからない。
幻聴なのかもな……と思いつつ、俺はさらに歩き続ける。
「――ねぇってば、聞こえてるなら止まってよ」
「……?」
歩くこと数分、また聞こえる。
今度は、さっきよりもはっきりと聞こえた。
「はぁ……まったく。これで何人目かしら」
徐々にその正体が明らかになってきた。
というより、さっきまで暗闇だったのが、徐々に明かりがつき始めてきた。
「あら、久しぶり。元気にしてた?雄哉」
「はっ?いや、何言ってるかわからないんだけど……というか…なんで俺の名前知って……」
「私のこと忘れちゃったの?……まあいいわ」
声の正体は分かったけど、どうしてこの人は俺のことを知っているのだろうか。面識ないはずなのに。
「それはそうと、この場所は?」
「ああ、この場所は、いわば死後の世界、といったら早いかしら」
死後の世界……?一瞬この人は何を言ってるのかがわからなかった。
「どうして俺が死後の世界に……」
「理由は簡単。だってあなたは車にひかれたでしょ?」
「えっ?」
たしかに俺は車にひかれた記憶はある。
だからって死後の世界は……。
「まあ、一部の人はここには来ずに戻っていくんだけど、どうも雄哉はそれができなかったみたいね」
「だから何言って――」
「私の言うこと、まだわからない?」
「……うん」
いや所々は分かるけど、この人は何が言いたいのかがわからないというか……。
「はぁ、まったく……いい?あなたは現実の世界では、意識不明の重体になっているの。それで生と死をさまよっていたところを、この私が助けに来たんだけど……どうやら、雄哉は現実世界に帰れなくなってしまったの」
「どうして帰れないんだよ?」
「そうねぇ、理由としては……現実世界に帰ったとしても、いつもと同じ、面白みのない生活をするでしょ?」
「……やかましいわ」
「そんな雄哉を、いっそのこと新しい人生を送ってほしいと思って」
この人は俺のことをバカにしてるのか?
「……新しい人生?」
「そう。新しい人生といっても、別な世界で過ごすことになるけど。つまり、異世界で過ごすことになる。……もう一つは、このまま新しい人生を手に入れずに死ぬか」
……答えは決まってる。
「……異世界で過ごす」
「……あら、以外にも答えは早かったのね」
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