兄と妹……?
「――なあ、このままどこに行くんだよ?」
さっきから歩き続けているものの、イリアがどこに行きたいのかがさっぱりわからない。
「大丈夫ですってば、そこの突き当りを曲がったらとこです」
「……分かった」
イリアは俺をどこに連れて行く気なのか。……考えても分からないものは分からないものさ。
「――ここです」
そして突き当りを曲がった先でイリアは止まった。
「……なんだこの建物は?ラスボスでも住んでるのか?」
「ラスボスかは分かりませんが、一応女神ならいますけど……」
「……めがみ?」
「はい。……どうしました?」
「いや、なんでもない」
ラスボスでも住んでるかのような、とてつなくでかい建物が目の前にそびえたっている。
ラスボスではなく女神が住んでるとイリアは言うが……女神でも、ラスボスの部類に入るのでは?
「それで、どうしてこの場所に?」
「ああ、その、雄哉さんに会いたいという人がいてですね……」
「俺に会いたい人……?どんな人なんだ?」
「直接見たことはないですが、噂ではかなりの美人だとか。まあ、人それぞれの意見がありますが……」
「……なるほど」
建物内に入ると、ちょっと埃っぽいような感じの空気が漂っていた。
あんまり掃除とかされてないのかなと思いつつ……って、こんな広い中をどう探せと?
「これは、道に迷ってしまいますね……」
「どうするイリア?」
「普通女神がいる家なら、使用人とかいるはずじゃないんですか!?」
「……俺に言わないでくれ」
たしかにイリアが言う通りかもしれない。
こんな建物内に女神一人だけっていうのは考えずらい。
「うーん……とりあえず、近くの部屋一つぐらい調べてみようぜ」
「雄哉さんがそういうなら……」
俺は近くにある扉を開けてみる。
中は思ってたよりも少し広めの部屋に、ベッドやら机やらが置いてあった。
「……なあ、やっぱりこの建物おかしくないか?女神が一人しかいないなら、どうして部屋が何個もあるんだ?」
「た、たしかに……もしかしたら、見えないだけで誰かいるかもしれないですよ?」
どうしてそう思うんだと突っ込もうかと考えていると。
「たしかに、実体はないけど、ここにちゃんといるんだよね」
「――はっ!?」
「えっ、ええっ!?ちょっと!?」
「あははっ!この人が雄哉って人かな?」
「そ、そうだけど……それよりも、雄哉さんになにしてるの!?」
「これがあいさつ代わりだってこと、忘れた?」
「……そ、そうだったね」
……今俺はどんな状態なのだろうか。
なぜか目の前が真っ暗なんですけど。
それと、なぜか背中らへんに柔らかいものが当たってるんですけど。
「ねぇイリア、この人ちょっとだけ貸してくれない?」
「な、なんで?」
「雄哉は、あなたのものじゃないでしょ?」
おい、いい加減俺にもしゃべらせてくれよ。
「……ちょ、ちょっと待ってよ。雄哉さんは、わ、私の……」
「私の、なに?」
「私の……お兄ちゃんなの!!」
「「……えっ?」」
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