雨がすごい

建物から出た俺とイリア。

最初、この建物に来る前はすごく天気が良かったのだが、建物から出ると外では雨が降っていた。


「雨……」

「俺たち傘持ってないよな……」

「どうしますか?雨が止むまでここに……」

「そうだな。この建物内で、まだ見てない部屋もあるし……せっかくだから物色してこうぜー」

「ああっ、ちょっと!……ふふっ、やっぱりお兄ちゃんっていいなぁ……」


今一度建物内に戻ってきたのはいいが、最初入った時もそうだったが、この建物内はものすごく広い。

だから物色に夢中になっていると迷子になってしまう。


「なあ、その……どうしてイリアは――」

「お兄ちゃんって呼ぶのか、ですか?」

「あ、うん……」

「単純に、私、お兄ちゃんが欲しかったんです。私には兄や弟、姉や妹はいないんです」

「そうだったのか……だけど、どうして兄を?」

「そうですね……私のイメージでは、お兄ちゃんって妹とかを守ってくれると思ってるんです」


たしかにそのイメージはあってると思うけど……だけど、どうして俺が?


「雄哉さんは、まだ出会って一日も経ってないけど、優しい感じがあるんです。怒ったりするような人じゃないって分かるんです……」


こうしていわれると、なぜだが照れくさくってしょうがない。


「そ、そうか……だけど、イリアが思うような兄にはなれないと思うんだ。さすがに」

「はい分かってますよ。人それぞれの性格とか生き方がありますから。無理して私のイメージに合わせなくても、雄哉さんは雄哉さんなりの生き方があると思うので」

「そうだな……」


なんだこの子は。かわいい以外にも頭もいいとは……その他にもいろいろとありそうだな。


「とりあえず……散策続けるか」

「そうですね」


何かないかと探すこと十分ほどが経過した。


「やっぱりこの建物、部屋数が多いと思うんだが」

「確かにそうですね……」


ここは一階だと思うが、もうすでに十個ほどの部屋数は確認してきた。

厳密には、その部屋一つ一つは調べてないが、ドアが十個ほどあるのは確認できた。


「……そもそもこの建物ってなんなの?」


俺が一番気になるのは、この建物自体何なのかということ。

女神であるライアがいることから、ここは宗教的な何かだと思ったのだが……。


「各部屋にベッドがあるってことは、ここって宿泊場か何かか?」

「だからなんですね、こんなにも部屋数があるのって。実のところ、私てっきり、ライアがいるから宗教とかそっち系なのかなって思ってたんですけど……以外でしたね」

「宿泊場とすれば、今日は休みなのか?誰もいなし」

「そんなことないと思いますよ。だってこの建物の扉が開いてましたし、中にはライアもいたし……?」

「……まあ、もし住むところがなくなったらここにくればいいか。そんなことないと思うけど」

「ここって宿泊場だったんだ……じゃあ、どうしてライアはいつもここに?……はっ!もしかして……!」


一人で何かを言っているイリア、そして俺。

ここが宿泊場ということが分かったので、ここにいてもしかたない。


「……だよなぁ」


依然として、外は雨が降っていた。








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