厨子の祝宴

作者 武州青嵐(さくら青嵐)

手順通りに執り行わないと、恐ろしいことが起こる……

  • ★★★ Excellent!!!


 山深い村。といっても、そこには電気も水道あるし、スマホだって使えます。急病人がいれば、ヘリだって飛んできます。
 でも、ただひとつ。
 他の村にはない、ちょっとかわった因習があるんです。

 四年に一度、村に伝わる厨子を祭り、その厨子をつぎの家に渡すのです。

 帰省していた志摩は、入院している祖母のかわりに、このちょっと変わった祝宴を取り仕切ります。
「厨子の祝宴」。
 それはつつがなく終了するのですが、つぎの当番家が厨子の受け入れをことわります。
「もうこんなこと、やめないか」
 そして、その夜から、怪異が始まるのです。

 村に残る因習。それには村の暗い過去と怨念が絡んでいます。そして、その過去も怨念も、いまだ消えてはいない。そう、決して消えてしまうものではないのです。時がたち、加害者が忘れたとしても、罪も罰も消えてなくなったりはしないのです。

 村に受け継がれる怨念と因習。志摩は幼馴染の奏斗とともに、怪異を止めるために動き出します。
 そして、知るのです。この村にまつわる忌まわしい過去を。
 ですが、村に伝わるのは、怨念と暗い過去ばかりでは決してなかったのです。
 果たして彼らはその根深き暗闇をことほぐことができるのでしょうか。

 ホラーですが、本作では恐怖は少し自重されています。恐怖と恋愛と社会問題がほどよくバランス調整されています。怖いのが苦手な人でも安心して読めます

 が、夜に読むことはお勧めしません。特に、風の強い夜は……。

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その他のおすすめレビュー

★★★ Excellent!!!

誰にでも、忘れがたい苦しみがある。
これからを生きる足取りが、重く沈んでしまうほどの。

閉ざされた過去の罪業が黯く渦巻く村。
そこには、謎めいた厨子が祀られている。
村全体で大切にされているものの… 続きを読む

★★ Very Good!!

 村に伝わる風習は、今は因習となり重く村の六家にのしかかります。次の当番家は因習の負担減を提案、現当番家戸主の代理である主人公が返答を保留することにより呪い(まじない)が解け、村に厄災がふりかかる、… 続きを読む

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