許すことで繋がる未来がある。大切なのは憎しみではなく、わかり合うこと。

はじまりは暗殺者としての素性を隠した結婚。それがまさか長年争っていた両国の未来を左右することになるなんて……。

「暗殺者の結婚」第2部は、イスパハルとカーモス両国の和平を探る道が描かれています。
2部ということで当然1部のネタバレありきで話が進みますが、この物語を読まれている方は当然1部も読んでいることでしょう。

1部では暗殺者としての素性を隠して結婚したサザが秘密を守れるかどうか、というところに焦点が当てられていましたが、2部ではもう少し物語の世界に踏み込んで、国と国の関わりやそれぞれの立場での生き方というものがより鮮明に描かれています。

元はカーモス(本編では主人公サイドの敵国)の暗殺者だったサザ。
カーモスの若き君主ウスヴァ。
サザとウスヴァの間には1部では語られなかった秘密があり、そのせいでサザは更に悩み苦しむことに。
そんなサザを深い愛で守るユタカと、親友たち、そして国王アスカ。登場するキャラクターの苦悩が生々しく描かれていて、それがより彼らの人物像をはっきりと浮かび上がらせてくれます。彼らは多くの決断を下すことになるのですが、その度に読んでいる方も胸がギュッと締め付けられるよう。臨場感が凄い。

人を憎むということ。
そして、許すということ。

許すことで開かれる未来があるとわかっていても、人はどうしても憎む方が楽なので争いが絶えない。
けれど、本当に強いのは剣の腕でも魔法の才でもない。
相手を許せる人が、一番強いのだと。そしてその時にはつらい決断をした者だけが見ることのできる世界があるのだと。
そう思わせてくれる作品でした。

暗殺者の結婚はまごうことなき名作です!
未読の方は、ぜひ1部から続けて読んでみて下さい。


最後にちょっと叫ばせて頂けるのなら……



ユタカ様、大好きーーーーーーーーー!!