魔術と科学が交わる刻、天空を制する蒼と緋の月は、ひとひらの雪へと変わる

 ここは、天空に3つの月が浮かぶ世界。
 微妙なバランスの上に成り立つ世界で、人々は安寧の時をすごしていた。それらを導いていくのは、魔術と科学のふたつの巨頭。しかし、扶助する間柄ではなかった。

 平和に暮らす人々の前で、突然、夜の闇が世界を覆った。夜が明けなくなったのだ。そして、人々を照らしていた、その月にも異変の兆しが見える。
 科学派の拠点はコントロールを拒絶されてしまった。同時に、魔術派の象徴と呼ばれる大導士は世界の崩壊を予見する……。

 原因を探ろうと科学派が動くが、月には辿りつくことさえできず、航行途中で爆発に巻き込まれ、その生死さえも掴めない。
 仲間を救うため、世界の崩壊を止めるため、魔術派と科学派が手を組もうとしている、まさに今、直視しがたい真実を知ることになる。
 世界は救えるのか……?

 この長編ファンタジー、世界観といい、文章の体裁といい、素敵なおとな向けの物語である。
 とはいえ、若年層にとっても得られるモノは多いと思う。多くの人たちに読んでもらいたい物語でもある。