金髪紫眼の美形少尉と規格外ちびっ子が繰り広げる最高のエンタメ戦記SF!

 世界に突然蔓延し始めた不治の病、神を名乗る謎の存在——それらをきっかけに戦火に包まれ、荒廃していく世界。

 そんな中で日本を思わせる東方の島国”日ノ元帝國”からやってきた、不破直とその兄、弘。規格外の直はひょんなことから上官のルードルマンととんでもない初対面を迎えることになり——?

 ミリタリーSFというと、どうしても戦闘描写に重きを置いた硬いものをイメージしてしまいますが、この物語はそのタイトルからも少し垣間見える通り、登場人物たちが、とても自由で伸びやかで、それでいて重い、そんな不思議な印象を与える作品です。
 主人公の直は、何やら秘密を抱えながらも、そのまっすぐな性格で誰をも魅了してしまうし、一見クールで偏屈に見えたルードルマンもその実誰よりも他者を気遣い、戦いへも熱い想いを抱いているように見えます。

 軽妙な会話や爽快な戦闘シーンに笑い、けれど、やはり戦時下というその過酷な状況に、時に冷水を頭からかけられるような感覚を覚えることも……。

 なーんて語ってしまいたくなるとっても深い物語ですが、その実、笑いあり涙あり、登場人物たちも全員魅力的、そして世界の謎も気になる……! というまさに極上のエンターテインメント小説です。

 第一部が完了ということですが、まだまだ続いていくということで、この先が本当に楽しみで、心の底からおすすめしたい一作です!

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