高き空と広き大地を舞台に重厚なミリタリーが展開される戦記物語。
リアルな戦争の中に正体不明の神の存在、世界を蝕むウィルスの感染、生まれた異能力などがプラスされ、現実と仮想が見事に混ざり合った完成度抜群の世界観が私を魅了してきました。
何処までもまっすぐで天才的な技量を持つ戦闘機乗りの主人公『直』、少し堅物だけれど誠実で心強い『ルードルマン』、この二人を中心に個性豊かな仲間たちが戦場を駆け抜け絆を深めていく、王道を貫きそれでも戦争の悲惨さもしっかり書かれ作者の知識と力量に感嘆の声を漏らすばかりです。
とにかく作者のミリタリー知識の豊富さが凄いのです、戦闘機の基本知識、戦争の歴史、世界情勢。そのどれもが事細かく設定されそれらが確かな文面で書かれる、これはミリタリー好きにはたまりません、そう詳しくない人でも興味を持たせる魅力が詰め込まれています。
そして戦争の合間に展開される人間模様もまた面白い! とくに主人公『直』と『ルードルマン』の関係は私は好きで応援しています。それはもう温かい目で応援しています。
熱き想いが戦場を照らす壮大な物語、是非とも読んでみてください。
ミリタリーなお話って全く知識がないとちょっと敷居が高いと感じる人も多いと思うのですが、全くその心配無く楽しむことが出来るのでそこを心配される方がいたらその考えはぜひ捨てて読んでほしいです。
(現に私はミリタリーな知識がゼロ…)
作中で「悪魔の契約者」と呼ばれるキャラクター達はそれぞれの持つ特殊な能力を駆使しながら、戦闘機に乗り込んで戦います。
主人公の直を筆頭にキャラクター達はそれぞれの葛藤や強い思いを抱えながら戦っており、一人ひとりが非常に丁寧に描写されているのが作者の方の描写力の高さゆえであり、この作品の大きな魅力だと思います。
読むと絶対に最推しが出来ると思います。
そんな中でやっぱり私の最推しはやっぱり主人公の直ちゃんですね…
超素敵な男性陣いっぱい出てくるんですけどやっぱり…
周りが全員男の中に存在する、坊主の軍人の女の子というのがまず、どんな子!?となりますが、最初から軍人の上司をどついた上に、女子であろうとしっかり殴られ返されるというかっこよさです。そこら辺の男より圧倒的に格好いい彼女に、もう、ついていきます……という気持ちになります。
直はいわゆるファンタジーで想像される「戦うヒロイン」ともまた違う、全く新しいこれからのヒロイン像だと感じました。
もっともっと沢山の方に届いて欲しいと思う作品です。
現実をベースに構築された架空世界で、暴虐的な神の所業に立ち向かう連合軍の戦いを描いた、SFミリタリー作品です。
ある日、突如として世界中に「神」と名乗る者からの不可解なメッセージが送られ、ウイルスの大流行により多数の国家が崩壊します。しかし、致死的な症状から生還した人々の中に特殊な能力を発現する者がおり、「悪魔の契約者」と呼ばれることになるのですが――、
物語では、個性の強い能力者の若者たちと、彼らが所属する北欧連合軍の戦いが描かれてゆきます。
主人公は「日ノ元帝国」から北欧へ逃れた若き軍人、「不破直」伍長。他民族が入り混じる連合軍だと日ノ元民は小柄で若く見えるものですが、直さんは少年兵とも見間違えそうなくらい小さく、声変わりもしておらず、……と、その真相はぜひ本編でお確かめください。
プロローグにして整備中の戦闘機を乗りこなし、飛来してきた敵機を殲滅してしまうほど、強烈な行動力を見せる直さんと組むのが、ダイチェ出身で魔王と渾名される「ヴォルケ・ウルフリッヒ・ルードルマン」少尉です。
顔を合わせた初日からいきなり殴り合うほどの二人が、物語が進むにつれてどんなふうに変化してゆくのか。友情ともロマンスともカテゴライズできない強烈な関係性と、二人を見守るやはり個性的な軍人たちとの関わりが、当作の魅力であり見どころでもあります。
様々な理由を抱え軍人として生きることを選んだ若者たち(自称おじさんもいますがだいたい若い)が、それぞれの過去と向き合い、生き方を選んでいく過程は、生やさしいものではありません。その中にあって、自身も重い過去を背負いながら一貫してぶれない直さんの姿は、ものすっごく格好いいです。
可愛らしい、いや、やっぱり格好いい、が相応しいですね。ぜひご一読ください。
「神」と呼ばれる謎の存在がばらまくウイルスにより二分化された世界。メサイアウイルスから生き残った者は特別な能力が出現し、悪魔の契約者と呼ばれるようになる。
世界は、ありのままを受け入れる「原則主義派」と、身体の一部を機械化して原則主義派を掃討しようとする「新人類派」に分かれ、己の矜持をかけた戦いが始まる──
硬派な文体で紡がれる本格ミリタリーSFです。日本人には馴染みのないウィットを交えたジョークや、小気味よい会話が世界観をより際立たせていてまるで洋画を見ているよう!
戦闘シーンも圧巻で、戦争の悲惨さ、残酷さを見事な筆力で書ききっています。
キャラクターも一人一人が個性的で魅力がたくさん。特に主人公の直(すなお)とバディを組むルードルマンとの関係性は必見で、互いを信頼し合う熱い友情を見せたり、ちょっぴりニヤニヤしてしまうような甘酸っぱいロマンスを見せたりと、二人の関係から目が離せません。
過去のトラウマに捕らわれたルードルマンに「あなたの隣を飛びます」と直が光へ導くと共に、彼女自身もまた、自分の命を省みない戦い方から、彼を、仲間を守る為に戦いたいと考えを改めます。
手に汗握る本格ミリタリーと、そこに付随する重厚な人間ドラマを楽しみたい方にぜひオススメしたい一作です。
世界に突然蔓延し始めた不治の病、神を名乗る謎の存在——それらをきっかけに戦火に包まれ、荒廃していく世界。
そんな中で日本を思わせる東方の島国”日ノ元帝國”からやってきた、不破直とその兄、弘。規格外の直はひょんなことから上官のルードルマンととんでもない初対面を迎えることになり——?
ミリタリーSFというと、どうしても戦闘描写に重きを置いた硬いものをイメージしてしまいますが、この物語はそのタイトルからも少し垣間見える通り、登場人物たちが、とても自由で伸びやかで、それでいて重い、そんな不思議な印象を与える作品です。
主人公の直は、何やら秘密を抱えながらも、そのまっすぐな性格で誰をも魅了してしまうし、一見クールで偏屈に見えたルードルマンもその実誰よりも他者を気遣い、戦いへも熱い想いを抱いているように見えます。
軽妙な会話や爽快な戦闘シーンに笑い、けれど、やはり戦時下というその過酷な状況に、時に冷水を頭からかけられるような感覚を覚えることも……。
なーんて語ってしまいたくなるとっても深い物語ですが、その実、笑いあり涙あり、登場人物たちも全員魅力的、そして世界の謎も気になる……! というまさに極上のエンターテインメント小説です。
第一部が完了ということですが、まだまだ続いていくということで、この先が本当に楽しみで、心の底からおすすめしたい一作です!
謎のウイルスが蔓延する地球に似た世界で繰り広げられる新人類対旧人類の戦争を描く、異能人類が存在するミリタリー色満載な物語です。
雰囲気は、第2次世界大戦中の世界情勢を醸し出しています。
とにかくかっこいい。物語の流れもかっこいいし、登場人物もカッコよく、出てくる武器や機材も専門性がかなり強く、作者さまの知識量に度肝を抜かれ、戦争映画を見ているような気分になってしまいます。
そして出てくる人物、全てがアツい!!個性的!!歯止めがきかない方々ばかり!!最高です。方言が出てくるところもお気に入りです(笑)
皆それぞれに様々な過去や想いを抱えていて、戦いへ赴く姿に心が熱くなってしまします。
物語が進むにつれ、スカッとする言い回しや、それぞれの心情にくすっと笑えるところもあり、そしてほろっとする場面も。
軍人ならではの爽快さもあり、読んでいて気持ちがいいです!!
主に空中戦が多いのですが、作者さまの専門性からとにかく戦闘描写力もすごく、そこにそれぞれの人物の熱い心情も合わさり、戦争の悲惨さや想いが胸に突き刺さります。
ミリタリー好きにはもうたまらない物語となっています。
そして、ミリタリーに興味がない方でもこの魅力ある登場人物達にぜひ触れてもらいたいなと、すっごく願ってしまうそんな本作、ぜひ読んでみてください!!
地名・地形的な部分で地球を想起させますが、地球によく似た別世界です。多少のアレンジはありますが、実在の世界の地名に近いため、世界情勢がイメージしやすいです。
事の起こりはウィルスの大流行。凶悪なウィルスに汚染された世界は二分化され、人として生きていきたい原則主義派、身体を機械化してウィルス共存を目指す新人類派となり、主人公は原則主義派側。
時代遅れの古い装備(第二次世界大戦ぐらいのやつ)で、ハイテクを駆使した敵と圧倒的不利な状況で戦っていくのですが、ウィルスに感染し生き残った人間には”異能”が備わっている者がいて、それぞれ個性ある能力を持ち、彼らは古い装備とその異能をもって、この世界で「人間」として生き抜くための戦いに身を投じます。
明日も知れない命の中で、失ってきた仲間たちの記憶と共に戦う対人スキルゼロのルードルマン、どんな相手でもその強烈な個性で渡り合える主人公、直。
癖は強いがカラッとした仲間たちと戦場を駆ける、やがて燕と名付けられ空を行く彼女の戦いの記録。
神とはいったい何なのか、人がたどり着くべく終着点とは。
ミリタリー好き、異能好き、そしてバディ物が好きな人にお薦めします。
銃を取り、進み続ける彼らの戦記をぜひご覧ください!
謎のウィルスによって絶滅の危機に瀕する人類。
そんな中でも人類は主導権を奪い合い、世界大戦に興じています。
主人公不破直(すなお)属する原則主義派は旗色が悪く、最新鋭のジェット戦闘機に対し、ウイルスがもたらした異能の力を以て、旧式のプロペラ機で立ち向かう……と言うお話です。
登場するなり飛行機をぶっ壊す強烈な個性と、年頃の女性らしさを併せ持つ直は非常に魅力的な主人公です。
相棒のルードルマンも自身のトラウマに葛藤しながらも、直をなんとか生き残らせようと必死になる姿は大変健気です(男性ですが)。
ミリタリー好きがにやりとさせる描写もてんこ盛りですが、単純に主人公2人が二人三脚で成長してゆくバディものがお好きな方にもお勧めしたい一作です。