シュールで不思議なもうひとつの日本

仕事に疲れた主人公がしばしの休息に訪れた先。そこは日本に見えて日本でない「異世界な日本」だった──。

見かけは日本でありながら色んなものがことごとく違うという面倒極まりない状況に、こちらまで引っ張り込まれるような気分になります。まるで不思議の国のアリスのような感覚です。
特筆すべきは、いかにも日本の田舎っぽいその町の住民が話す方言。とにかくものすごいインパクトです。いったいなぜこの喋り方に? と笑ってしまうほどですが、それでも意味が分かってしまう絶妙な訛り加減。ありそうでなさそうな奇妙な文法。ここまで日本語を自在にアレンジされる筆者様に脱帽です。

今まで当たり前だったこと、常識と非常識。価値観が覆りそうなパラレルワールドの日本で主人公はどんな日々を送るのか。シュールな中にどこかのんびりした情緒も味わえる、不思議で癖になる作品です。

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