美しく、気高く、立ち上がれ。逆境の先に彼女の描く未来は——

 人間とは異なる価値観で形成された狼の社会。前作、『白銀の狼』では囚われたレティリエ含む狼と人間の闘いが主でしたが、今作は全くちがう方針の強さを持つ狼の群れとの争い。

 まずは前作を読むと、ここまでのレティリエの心境の変化によりグッと感動すること間違いなしなので、一作目から読むことをオススメします。

 美しく、賢く、優しくも狼の姿になれず人狼の姿のままのレティリエ。力で個の強さを証明して生きる狼達の中で、彼女は異質な存在。けれど愛する人と結ばれ、幸せな日々を送っているかと思いきや——。
 彼女に突きつけられる過酷な試練や運命は今回も辛く、そして切ない。

 何度もピンチに陥り、挫けそうになりながらも、必死にその愛を貫き成長していく姿には涙を誘います。
 また、今作ではそんな彼女が成し遂げた数々の繋がりが実を結ぶ場面も。

『神様は、乗り越えられる者にしかその試練を与えない』この言葉を思い出してしまうような、残酷な運命や辛い場面も沢山襲ってきますが、そこで立ち上がる度にレティリエの芯の美しさが増していくようで。

 最後の一文字まで、光の糸を辿るように読んでほしい。
 とても励まされる、美しくて素敵な物語です。

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