死と絶望が蔓延る〝悪夢〟の世界─繰り広げられる少年少女たちの死闘に刮目



まず、第一揺からの穏やかな日常から、ガラリと非日常へと突き落とされる主人公の心理描写が非常に見事です。
筆者様の巧みな筆力が伺えます。

そして、何より現時点で私がこの作品の中で一番印象に残っているのは、主人公のキャラクター性です。
この物語の主人公は一般人的感性を持っていますが、合理主義者であり、一人を好む。そう自らを認識しています。

しかし、彼ほど合理主義にかけ離れた〝人間臭い〟キャラクターはいないのではないか?

読み進めてゆくうちに、私はそう思わずにはいられませんでした。

〝悪夢の世界〟にて、数々の絶望の淵に立たされることで、彼の中で度々起こりうる〝合理性〟に欠けた大きな矛盾。

この数々の矛盾が本当に人間臭い。

私は彼のこのあまりにも〝人間臭さ〟に、一番の魅力を感じました。

筆者様のキャラクターの〝魅せ方〟には感服せざるを得ません。大変素敵です。
また、主人公が陥った深い〝絶望〟の描写も非常に秀逸していると感じました。
生々しさ、或いはリアリティに秀でた描写が本当にお上手です。

この物語の世界にて、〝悪夢〟による悍ましい絶望に呑み込まれて行く少年少女たち。
巧みな描写で描かれた、彼らの〝絶望〟に多くの読者も思いがけず、呑まれることでしょう。

それほどまでに、物語の中に没入することができる。或る意味〝恐ろしい〟作品でした。

しかし、少年少女たちの絶望だけでなく。
彼らの青くも、みずみずしく弾けるような。
鮮やかな〝青春〟の様も爽やかに描かれているため、大変楽しめました。

これからも、この物語にて。
少年少女らの〝悪夢〟の世界での死闘。
そして鮮やかでもあり、残酷にも見える
彼らの〝青春〟の数々を見守りたいと思います。

このような大変素敵な作品との出会いを。
筆者様に重ねて感謝を申し上げます。

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