ラストに驚嘆! 清々しい読後感
- ★★★ Excellent!!!
歴史に関する著者の造詣の深さが伺える、優れた短編です。
家臣により城を乗っ取られた若殿が物乞いをしながら寒空の下を放浪。そして謎の僧との出会い……。正統派貴種流離譚を思わせるストーリーとミステリアスな展開に、心が鷲掴みにされます。
派手な合戦シーンはありませんが、下剋上の非情な世を、生き延びるために懸命に知恵を巡らす人々の息遣いが聞こえてくるようで、歴史小説の新たな魅力を発見出来ます。
そして驚きの結末と清々しいラストシーンは、至福の読後感をもたらしてくれます。