お疲れ日常×コンビニ飯×クトゥルフ神話のグルメなホラー系エンタメ小説

 お仕事を終えて疲れきっている体と心を回復させるべく、主人公の麓郎さんは不思議なコンビニ「ルリエーマート」でコンビニ飯を求める。
 そのコンビニチェーンでは、どこの店舗に行っても、必ず本物の「クトゥルフお母さん」が出迎えてくれる。麗しいお母さんの姿を拝み言葉を交わせば、それだけでも麓郎さんは癒される。そしてお母さんが、すっかり疲弊している彼にふさわしいお勧めの一品を選んでくれる。
 コンビニ飯を買って帰宅した麓郎さんは、それをお酒と一緒に楽しみ至上に近い満足感を得る。たまにはお酒のチョイスや飲み方をミスるような、お約束的展開があったりもするし、あるいはお酒以外を飲む場合もある。
 ほとんどは普通のコンビニでも手に入るような大衆的料理のはずが、いつも食べた後になってから、とんでもない食材を使って作られていたのだと麓郎さんは知る。だがしかし、それが判ったとき既に彼は滅亡に向かって突き進んでいる。

 各話とも必ず主人公に死亡が待っている食レポは他にあっただろうか。クトゥルフ神話が融合されたグルメなホラー系エンタメ小説だからこそ、この妙味が実現できたのだろう。
 ややこしい話は抜きにするとして、とにかく目次から好きな料理名をどれか選び、そこから読んでみれば、この小説の面白さがすぐ判ります。クトゥルフ神話を知っていても知らなくても、楽しめる作品なのです。

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