あなたの街にもきっと在る! 素敵なママ? が待ってるよ。

 今回読者諸兄に紹介するのは、あのクトゥルフ神話を食レポにしてしまった問題作……いや、意欲作である。

 クトゥルフ神話を知らなくても全く問題ないが、知っていればそれだけニヤニヤ出来るので、神話ファンの皆様には是非ともお勧めしたい。



 本作品の内容は主人公であるフリーライターの『麓郎(ろくろう)』が、仕事終わりや仕事の合間に、コンビニであるルリエーマート内のクトゥルフお母さん食堂でご飯を購入し、自室で食する。

 そしてクトゥルフ神話の例にもれずと言った所なのか、麓郎が毎回酷い死にざまを晒す。

 ただそれだけである。

 だがそれがスゴイのである。


 先ず毎回の食レポの内容が素晴らしい。

 味、香り、見た目、食感、食事の際の音、それらが克明に描写され、読者の五感を容赦なく刺激してくる。

 又、食べ物の描写に隠れがちだが、各種飲み物(だいたい酒類)の存在も食事にアクセントを加えており、心地良い酩酊感を与えてくれる。

 そして、食事が終わった後はお楽しみの『神話タイム』だ。

 ここで登場する神話生物と主人公の死に様が実にバリエーション豊か。

 ただキワドイだけではない。

 各エピソード毎に、テーマになっている神話生物由来の死に様を晒すので、クトゥルフ神話のヘビーファンにも説得力がある。


 全体的としてはブラックコメディの範疇に入るのだろうが、各回を読み進めていく毎に少しづつ明かされる作品世界のバックボーンや主人公の秘密。

 それら暗澹たる隠し味が、この作品を只のスプラッタからコズミックホラーへと昇華させている事は間違いない。

 そこの匙加減が作者の妙技と言えるだろう。

 繰り返すが、本作品はクトゥルフ神話経験者、未経験者問わず楽しめる作品である。


 最後に、この作品を切っ掛けにして、一人でも多くのクトゥルー神話ファンが生まれることを願って……

 乾杯……じゃなくて、頂きまーす!



 あ~食べた食べた。

 もう満腹だ。

 幸せいっぱいだ~。


 ……、……あれ、何か腹が痛いな。

 ……うん? このニュルニュルしたの何だ? どっから出てる?

 ……そうか触手か! これが触手って奴か! え? ……触手⁉


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